井上雄彦先生の傑作車いすバスケットボール漫画『リアル』3巻では、高橋の病室での出来事がメインで描かれています。1巻で見た高橋への感情、3巻で見た高橋の印象と、こちらの心情が大きく揺り動かされるようなストーリー展開となっています。また夏美を遠くで見ている野宮の孤独感も何とも言えない心境にかられるかと思います。
『リアル』3巻は13th~18thまでが収録されています。
13th.
ドリームスとの試合を終えた戸川は、車のハンドルを握りながらしょんぼり歩く野宮を見つけます。車に乗った野宮は荷物を見て、戸川がバスケの試合後だと認識します。負けた試合でしたが、その試合の中でタイガースは新しい可能性を見出していきます。
前進している戸川の姿に、焦る野宮がいました。自分もと思い、夏美を探しに長野県へと足を運びます。そこで夏美の妹、塔子と出会います。そして夏美にて会って欲しくないと言われてしまいます。
14th.
このままでは帰れないと野宮は夏美の病院を訪れました。そこで必死にリハビリに励む夏美の姿がありました。しかしそのリハビリはきれいごとでは済まされない、地獄のようなリアルを見せつけられます。その姿を見た野宮はどうすることもできませんでした。
そのころ高橋は病室のベッドの上で、走っている自分の夢を見ていました。夢から覚めた時に、リハビリ担当の沢村がやってきます。そして今からリハビリをしようと高橋を連れ出します。天井を見続ける生活にうんざりしていた高橋は、100%の力を注ぎこんで元の生活に戻ろうと意気込みます。しかしそこにはまら新たな挫折が待っていました。
リアル 3巻
15th.
天井を眺めている高橋の前に、西高バスケメンバーが来ました。引退後の祝賀会後でどんちゃん騒ぎで、入院中の高橋を気遣うこともありませんでした。そんな状況に高橋は怒鳴り散らして、帰れと怒ってしまいます。
久しぶりのお風呂に入ることになった高橋は、3人のナースにお風呂に入れてもらいます。それはとても恥ずかしく、屈辱的なものでした。湯船に入ることで足に感覚が少しでも戻るのではないかと、一縷の望みをかけますがそこに希望はありませんでした。絶望の淵の中で母の千鶴子に一言漏らします。父親に会いたいと。
16th.
父親に会いたいと言われた千鶴子は、女手一つで育ててきたことを否定されたように感じてしまいます。しかし高橋の本音に寄り添うように、別れた夫に連絡を取ります。
父とのバスケットの思い出に浸っていた高橋の前に、一人のおじさんが立っていました。誰か分からずにいましたが、発せられた一言に父だと悟ります。しかしその姿は記憶にある姿とは別人でした。しかし父からの一言に感情と涙がこみ上げてきます。
父の姿と今の自身の状況に絶望する高橋。担当看護師と一緒にリハビリセンターへ行く途中で、信じられない惨事が起こってしまいます。
17th.
高橋が父と会った日の惨事。母の千鶴子は息子に二度と会わないでくれと電話で伝えます。高橋は自分のことをAランクだと思っていましたが、それは幻想であったと父の姿を通して実感してしまいます。リアルな俺は・・・と自傷行為に走ってしまいます。
夏美に会いに行ったことで、自分に幻滅してしまった野宮。自分を変えるために少しずつ動き出そうと試みていきます。そしてその一つとして、高橋に会いに行くという項目がありました。
高橋は病室のベッドの上で、音楽を聴きながらぼんやりしていました。そこへ突然野宮がやってきました。野宮は退学時に高橋をたくさん蹴ったことを謝りに来たのです。その後二人はバスケットの話しをするも、高橋は帰るように強く罵声します。その言葉に怒りが込みあがった野宮は、「立てコラァ」と胸倉を掴みました。しかしそこには変わり果てた高橋の姿がありました。
18th.
野宮のことを底辺の人間だと言及する高橋は、今の自分自身も底辺の人間だと言います。しかし野宮は、「歩けなくなったから底辺かよ?」と言い放ちます。野宮は知っています。部活の練習を手抜きしてきた、努力する人間をあざ笑ってきた高橋を。そして努力してもリハビリをしても簡単に進めない夏美の姿も同時に。野宮は高橋に対して、根本的なリアルを突き付けます。
野宮に言われた一言で気分を害していた高橋。しかし今日は自身も忘れていた誕生日でした。それぞれに誕生日を祝ってくれた彼女、小林さん、母、そしてミニバスのコーチとの再会。その日はいつもより余計にしゃべった高橋でした。
リアル3巻 まとめ
高橋の西高バスケ部との確執、父との再会、野宮とのやり取りなど、高橋の心に衝撃を与える出来事が次々に起こります。また夏美に会いに行った野宮の、自身への葛藤などが色濃く描かれています。
しかし最後にはほんの少しだけほっこりする内容に、4巻をすぐに見たくなるのは間違いないでしょう。
リアル 3巻
