テレビアニメ化・実写映画化・実写ドラマ化もされた、羽海野チカ先生の大人気恋愛漫画の『ハチミツとクローバー』。
1巻では、登場人物の関係性や人柄がザッと紹介されています。｢人が恋に落ちる瞬間を見てしまった｣という名言が生まれるのもこの1巻です。たくさんの恋が複雑に絡み合うこの作品の序章となっています。一度読んだらもう止められません。
漫画『ハチミツとクローバー』1巻には第1話～第9話＋あとがきが収録されています
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目次
第1話
美大に合格して上京してきたこの漫画の主人公・竹本は、大学から徒歩10分の風呂なしアパートに住んでいます。住人全員が貧乏学生、お金のない時は助け合いながら何とか生きています。
そして今日も、謎のバイトを終えた森田が14日ぶりに姿を現し、大量のコロッケを持参して死んだように眠るのでした…。翌日の朝一の講義を受けないと留年するから起こしてくれ、と言い残して…。森田は既に6年生なのです。
同じアパートに住んでいる真山の協力により、全く起きない森田を起こす努力をする竹本の証拠を写真に収め、竹本は大学へ行くよう促します…が、『留年』という単語が聞こえた瞬間森田は飛び起きて、竹本からキックボードを奪い取って大学へと向かうのでした。
森田は得体の知れない、自由人なのです。そして現在のターゲットは竹本。以前は真山がターゲットだったため、この1年平和だったとしみじみ語るのでした。
教授である花本の元に集まる竹本と真山は、見た事のない小さい女の子の存在に気付きます。
彼女ははぐみ、花本の姪であり、今年入学してきました。
早々爽やかに自己紹介する真山を制止する花本の横で、竹本はお昼に持ってきたコロッケをおすそ分けします。そしてそのままはぐみの一挙手一投足から目が離せなくなるのです。
『人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった』
この漫画において、とても有名なワードです。竹本は分かりやすくはぐみのことを好きになったのでした。
その後、乱入する森田に怯えるはぐみだが、実は森田も恋に落ちていた！？のだが、里芋畑から葉をむしってきて持たせ｢コロボックルだ！｣と大興奮していたため、誰にも気付かれることはありませんでした。
森田の自由人な様子が1話だけで強烈に伝わってきますね。
第2話
相変わらずはぐみに付きまとう森田は、はぐみの足型で『コロボックルの足型発見！』と作品を作り、またその足型でペーパーウェイトまで作っていた。
しかし、毎日執拗に付きまとわれるはぐみは森田のことを怖がり、逃げ回っています。当然ですよね…。そしてそのストレスを作品にぶつけている、と花本から聞いた竹本と真山はこっそり作業場を覗くことにします。
そこにははぐみの体の何倍もある粘土のオブジェがあり、度肝を抜かれる2人…そして竹本ははぐみの才能に焦り始めます。そんな竹本を真山は先輩として諭し、アパートで鉄板パーティーを計画します。
しかし森田がまた出稼ぎに行くと言うのでパーティーは延期。1週間待ち続けます。
出稼ぎを終えフラフラになっていた森田は、たまたまショーウィンドウで見かけたミュールに目を奪われます。それは、はぐみが欲しいものノートに貼っていた、キラキラしたおしゃれアイテムたちを目にしていたからでしょう。
足型のペーパーウェイトを使ってはぐみへミュールを買って帰ります。3万円もするのに！札束を持っていたので大したことなかったんでしょうが、喜んでもらいたい気持ちが大きかったと思いたいですね。
そして疲れ果てた森田をおぶって帰宅する竹本は、なぜだか体がズキンとするのを感じます。心当たりは無いけど、胃が痛い？なんて呑気に考えて…まだはぐみへの恋心に気付いていないのです。森田がミュールをプレゼントして喜ぶはぐみに、胸が痛んだことにも気付いていないのです。
そして、今おぶっている男がこれから恋敵になることも、竹本は気付いていないのです…！！
第3話
今回は森田の実態に迫っています。
アパートで雑誌を読む住人たち、『こんな男はヤダ！』のほぼ全てに当てはまる森田がなぜモテるのか！と大荒れです。
しかし花本は｢他人の言葉に振り回されず、我が道を行くからでは？｣と大人な視点で分析します。そして、一番モテないのは、『こんな男はダメ！』なんてのに振り回されてる男だ、とも…グサグサ刺さりまくる真山と竹本なのでした…。
真夏の昼下がりです。
森田は水飲み場で頭から水をかぶり、石鹸で洗顔からの洗髪…見かねた女子テニス部員からボディーソープを投げつけられると、着たまま洗濯し始めました…！
なんでこんな男がモテるんだ！！と竹本と真山は森田から逃げますが、彼女がいたことはないな…？と気付きます。
結論。
森田がモテるのは他人の言葉に惑わされないから。
森田に彼女がいないのは他人の言葉に耳を貸さないから。
『美点と欠点は紙一重』
竹本と真山は森田からまたひとつ学ぶのでした…。
第4話
今回はアパートの人気者、ローマイヤ先輩のお話です。
住人みんな貧乏学生、何日も肉を食べられないなんてザラです。そんな時、父親の体調不良により帰郷していたローマイヤ先輩が帰ってきたのです！
ローマイヤ先輩とは…大きくて包容力があって、ハムの配達のバイトをしていて残り物を貰ってきてくれる、懐の広い男です。
ローマイヤ先輩の帰宅とハムがある豊かな食生活で、アパートの住人たちは創作意欲も上がり、それはもう幸せに暮らしていました。
そしてハム中毒になった住人たちを残し、ローマイヤ先輩はまた父親が倒れ帰郷してしまったのです。
豊かな食生活は人々を豊かにさせてくれる、というお話でした！
第5話
今日はみんなで河原でBBQに来ました。
小玉スイカをはぐみに持たせることで、普通サイズのスイカに見える！と男たちは大喜びです。しかし、はぐみはスイカを川で冷やす際に落として割って流してしまいます…そしてはぐみも一緒に流れていくのでした…。
竹本が着ていたシャツをはぐみに貸し、服装の問題はクリアしました。が、上半身裸の竹本に対してはぐみが虫除けの葉を刷り込んでいると、赤面する竹本…しかし本人はなぜ赤面しているのか分からないのです。
まだ、自覚は無いんですね？
BBQは夜まで続き、はぐみと竹本は隣合って花火を楽しんでいます。その様子を遠巻きに見ていた真山は、花本に、あの2人大丈夫なの？と問いかけますが、
｢あと15cm近付いたらぶっとばす」と…。
その後の夏休み、花本とはぐみは長野で過ごし、竹本は東京に残るのですが、ずっとあの花火の日のはぐみの姿が目に焼き付き、初めて夏休みが長いと感じるのでした。
第6話
夏の終わり、銭湯に向かう竹本、真山、森田。はぐみに1ヶ月近く会ってないな〜なんて話していると、竹本の携帯に知らない番号から着信が。それは長野にいるはぐみからでした。
ドギマギしてどもっている竹本を、真山は甘酸っぱく見守ります。
明日帰るから、土産は蕎麦か野沢菜どっちがいい？という電話でした。
着信音を人によって変えているという竹本に対し、自分はただの着信音だと言う真山ですが、そんな真山の元に着信が来ます。ムーンリバーでした。
そしてお風呂セットを竹本に託し、真山はどこかへ急ぎ足で向かっていきました。驚く竹本に｢女だよ｣と一言だけ告げる森田。何か知っているのでしょう。
そして、この真山と女性のお話は今後長く続いていくのです。
翌朝、森田を起こしに行った竹本は｢久しぶりにアイツ(はぐみ)の顔が見たい｣と言われ、胸がズキンと痛むのでした。しかし、竹本はなぜ胸が痛んだのか、まだ恋心には気付いていないのでした…。鈍いですね…。
しかしその後、森田の兄がアパートに現れ、急な仕事が入ったから手伝うようにと森田を連行していきます。森田は、はぐみとの蕎麦パーティーがあるからと一度断るも、金に目がくらんで着いて行くのですが、道中車からはぐみを見かけて目が離せなくなっていました。森田は、恋心を自覚しているのでしょうか…。
真山も森田もいなくなり、蕎麦パーティーは花本、はぐみ、竹本の3人で敢行することになり、隠しておいた牛舌を出して肉パーティーです。
その後、はぐみがたまり場にしている花本の一室へ竹本を招き入れます。そこで竹本は、巨大な粘土や繊細な人形の服まで手がけるはぐみが、道具を使って何かを作ることが苦手なのでは？と気付きます。人形の服のタンスがティッシュ箱だったからです。
軽い気持ちで｢タンスを作ろうか？｣と提案したところ、ヨーロッパのロココ調の資料を嬉嬉として出されるのでした。
長居する竹本を不審に思った花本が部屋を訪ねると、満足気に眠るはぐみと対照的に、ロココ調の設計図にうなされる竹本の姿が…。
果たして、ロココ調のタンスを作った所ではぐみが竹本に恋心を抱くかは…分かりません！でも、平和な学生の夜、といった感じでとても和みましたね。
第7話
第7話では、今後重要になってくる2人の女性が登場します。
学校にタクシーで横付けする真山を、大学の女子たちはよく思っていないようです。なぜなら、真山はコンパで毎回お持ち帰りする常習犯のようなのです。
陰口を叩かれてもビクともしない真山の元に、取っ組み合うように現れたのが、陶芸科の山田です。｢まだ不毛な恋をひきずってんのか！｣と威勢のいい山田ですが…山田は真山のことが好きなのです。
竹本は、朝真山といた女性が花本と親しくしているのを見て質問攻めにします。彼女はリカといって、真山のバイト先の事務所の人間だ、と伝えられます。彼女なのか！？と興味津々の竹本ですが、花本は苦笑いをして｢お前が思ってるような間柄じゃないよ｣と告げます。
真山とリカの関係、そして花本も含め、一言では語れない過去があるのです。
真山に逃げられた山田は、学内の隅で真山を見つけます。｢なんで気持ちを伝えないの？｣｢そのままあの人の所で就職するの？｣｢何となくでフラフラしていくの？｣と、いつも逃げる真山に問いかけます。
しかし、ここで真山のターンです。
｢なんで俺なんだ？｣
真山は、山田の気持ちに気付いていたのです。
｢もうオレを見んのはやめろ｣
そう言うと、またムーンリバーがかかり、真山はリカの元へ向かうのです…。
山田は、泣きながら粘土を捏ねて作品にぶつけていきます。自分が何も言わずに恋心を気付かれていたように、真山も何も言わずに気持ちを知られているかもしれない、それなら真山の恋も実らないのではないか、そんなことを考えながら作品を作り続けるのでした。
今後、真山、山田、リカのねじれた関係から目が離せません。
第8話
森田が真山にムーンリバーを歌ってからかっている時、本物のムーンリバーの着信が来ます。大学に来ているので荷運びを手伝って欲しいとのことでした。しかし、リカは花本の所へ行くと早々に別れます。しばらくは何も無いから。卒制頑張って、と。
花本を訪ねたリカは、あの頃に戻ったみたい、と昔を懐かしみます。花本との過去を匂わせていますが、何があったのでしょうか。そして、外で真山が待っていることに気付きます。
花本はリカを車に乗せて壁紙標本を見に出かけることになりました。リカは真山との距離を取っているように感じます。これは気持ちに気付いているからなのでしょうか、冷たい印象を受けます。
場面は一転、食堂のはぐみに移ります。
今から遊びに出かける、という男子学生からはぐみも一緒に行かないかと声をかけられます。しかし一緒にいる女子学生からは｢作品作りがあるでしょう？｣｢邪魔しちゃ悪いよ｣などと言われ、誘いは無しになりました。
はぐみは花本を求めて研究室に行くも、リカと外出中のため不在…作品に没頭します。そこに現れたのは森田です。いつものようにはぐみで遊ぼうとするのですが、いつものように反抗してこないことに違和感を覚えます。そこに竹本も現れ、保健室へと連れて行きます。
そこで保険医から聞かされたのは、元々体が弱いこと、周りの大人からの期待に応えながら自分を保つことがストレスになっていること、サポートに回る大人たちがいることを面白く思わない学生がいること、標的になること…竹本は以前、はぐみの作品を見て焦ったことを思い出します。自分も周りと一緒で、はぐみを特別視して遠ざけているのではないかと省みることになるのでした。
第9話
みんなでクリスマスパーティーをすることになるのですが、その前に少し竹本の幼少期の思い出を。
はぐみと買出しに出かける竹本は、楽しんでいるはぐみとは対照的に、あまりクリスマスは好きではないと言います。
竹本の母は看護師で、毎年小児病棟のクリスマス会に参加していました。一般的なクリスマスとしての思い出が無く、母の手を独り占め出来なかったことが、どこか心に引っかかっているようなのです。
そんな竹本の様子を見て、はぐみははぐみなりに気を遣って、好きな物はなにか、何が食べたいかと竹本に聞きます。そんなはぐみを見て切り替えた竹本は、思いっきりパーティーの準備を楽しむのです。
一方真山はリカの自宅へ差し入れを届けます。そして下に花本の車があることを目ざとく見つけています。真山はストーカー気質があり、とても間の悪い男なんです…後々彼のかっこ悪い姿が見られるようになります。
クリスマスパーティーへ遅れて到着した真山は、森田に｢フラれた？｣と図星を突かれます。そして酔っ払いの山田、山田の美脚を見て泣くはぐみ、逃げ出そうとドアを開けるとそこに花本が到着します。｢リカさんは…｣と聞く真山に、花本は｢ダンナのとこ｣とだけ伝えます。
リカの旦那は亡くなっていたのですが、真山は何となく気づいていたようでした。
漫画『ハチミツとクローバー』1巻 まとめ
1巻では主な登場人物の人柄や過去、問題が少しずつ提示される形になっています。
リカと花本の関係や、リカと真山の今後、山田の失恋の行方、竹本の恋心、森田の謎…今後の展開が気になる要素がてんこ盛りです。
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