落語を思う価値観の違いが発端で破門となった助六。
破門を突き付けた師匠には、八雲と助六の名に因縁の過去があった。
みよ吉との間に子どもができた助六は落語から離れ東京を出た。
助六を連れ戻そうと菊比古が助六家族のもとを訪れ、事態は新たな局面を迎える。
八雲と助六篇其の六から其の八までを収録する昭和元禄落語心中4巻。巻末には落語に欠かせない手ぬぐいについての小咄を掲載。噺の中での手ぬぐいの見立ては種類も豊富で面白い。
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漫画『昭和元禄落語心中』3巻ネタバレや感想など｜落語シーンや鹿芝居の魅せ場！
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目次
八雲と助六篇 其の六 助六、闇を彷徨う
破門となった助六は落語界からも締め出しを食らっていた。
だが菊比古がいくら師匠に謝れと言っても聞きやしない。
どうやら頑固さは師匠似らしい。
菊比古は師匠から八雲の襲名を言い渡される。
助六こそ八雲に相応しいと思っているのに、名跡っていうのはどうもそう簡単ではないらしい。
助六の子を宿したみよ吉は、助六から落語を引き離しにかかる。
みよ吉は、愛しの菊比古と自分との仲を裂いた落語を恨んでいるのかもしれない。
自分の落語が求められなくなった助六は、八雲のことも落語のことも考えたくないほどに疲弊していた。
菊比古が助六の才能を羨んでいたように、助六もまた菊比古を妬む気持ちがあった。
どんなときも落語の明るい未来を思い描いていた助六から弱音が溢れ出る。
八雲と助六篇 其の七 八雲、目に見えぬ名の力
師匠と菊比古の親子会の日、とある若者が弟子入りを志願に来た。
なんと師匠ではなく菊比古に、だ。
師匠に恥をかかせることになった菊比古はばつが悪い。
始まった親子会。
師匠は有楽亭の代名詞とも言える「子別れ」をやり切るも舞台裏で倒れてしまう。
師匠は自分の終わりを悟り、心残りを菊比古に話して聞かせる。
それは初代助六との因縁の噺だった。
「八雲」に囚われた師匠も長い間名前に苦しめられてきた。
師匠が往生し、正真正銘望んだ孤独に身を置くことになった菊比古。
菊比古は孤独の中で自分の落語をとことん感じ、愉悦に浸っていた。
落語界からは八雲の踏襲をせがまれるが、菊比古は思うところがあり旅に出る。
八雲と助六篇 其の八 助六、小夏の喜ぶ顔を見る
旅先で出会ったのは助六と瓜二つの落語をする少女。
少女は小夏と名乗り、蕎麦屋で寄席を開き日銭稼ぎをしていた。
助六はろくに働かず、みよ吉は男と出て行ったと言う。
人とともにある落語がしたいと息巻いていた助六は見る影もなくなっていた。
菊比古は名前の因縁の噺を伝え、因縁を断ち切るためにも助六が八雲を継ぐべきと説得する。
その実、自分の落語のために助六の落語が必要だった。
助六に迫る菊比古の表情は荒んでいた。
助六を東京に連れ帰るために3人で暮らし始めた。
助六も働きに出て、人らしい生活を取り戻していた。
菊比古と助六の落語で大喜びする小夏に、助六は失いかけていた光を見出していた。
昭和元禄落語心中 4巻 まとめ
過去篇は菊比古目線が主軸のため、今までは菊比古の内面が多く描かれていた。
昭和元禄落語心中4巻では、助六や師匠が自らの葛藤について口を開いたことで彼らの視点も合わさってくる。
振り返ると、点と点が線でつながる部分もある。
3巻で菊比古は助六に、孤独であることで自分の落語と向き合えると言及していた。
八雲と助六篇其の七を見ると、本当に芸のための孤独を欲していたと分かる。
その反面、助六の落語も必要とする菊比古はその不安定さも魅力のひとつなのだろう。
妬み妬まれながらお互いの落語を心から認めていた菊比古と助六。
落語の明るい未来を語っていた助六は、落語界から求められなくなることで長く路頭に迷っていた。
そんな助六の落語を菊比古と小夏が求めることで、助六が立ち直っていく様子に胸が熱くなる。
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