第1巻は、振り込め詐欺による被害金が返還されるという出来事が起こり、世間を大きく騒がせていました。ところが、被害金が返還という行動を起こした“義賊”と名乗る若者達が、詐欺グループに拉致監禁されます。
更にその後、若者達や詐欺グループの一員共々、これから発生する大きな出来事に巻き込まれてしまいます…。
漫画『賭博覇王伝 零』1巻には第1話～第5話までが収録されています。
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目次
第1話 その男「零」
巷では“義賊”と名乗る者により、振り込め詐欺の被害金が返還されるというニュースが大きな話題となっていました。
その被害金は全て関東テレビ（局）に届けられており、“金はオレたちが奪った、返金はそちらで”と書かれた手紙も添えられており、最後に「零」という名前が書かれていました。
スカッとする話題で、「零」という人物（またはグループ）は誰なのか、それとも詐欺グループ内部による告発なのか等、テレビ局内では話題が絶えませんでした。
しかしその頃、振り込め詐欺の被害金を奪った“義賊”である若者達は、ある振り込め詐欺グループにより拉致監禁されていました。
そこの社長・末崎さくらは、若者達に（“義賊”の）首謀者である零と名乗る者に電話して呼び出せと促すも、若者達は零とは今後は連絡しない約束をしたと答えます。
すると末崎は子分にペンチを持って来させ、若者の一人・ユウキの腕を取り、指を潰そうとすると、ユウキは慌てて電話を掛けると言い出します。
ユウキは急いで零にメールを送った後、末崎に零がここへ来るという返事が来たと答えます。末崎が、零があと何分で来るか尋ね、ユウキが怯えながらそこまでは分からないと答えると、彼を容赦なく蹴ります。
そこへ末崎の弟分・板倉がやって来て、暴力はダメだと末崎をなだめ、一体何があったのか教えて欲しいと（上からの命令で）言ってきます。
末崎が言うには、ユウキ達は末崎達がよく頼む飲食店の出前持ちで、出前物を持ってきた際に（同じキーホルダーが付いた）「本物」と「ニセ」の鍵を「すり替えたそうです。
そして外で「合い鍵」を作った後に、器を戻しに来る際に「本物の鍵」を事務所内に戻して、「ニセの鍵」を持ち帰ったとの事です。
そのうえ事務所内で盗聴器を仕掛けた事で、末崎が使用していたキャッシュカードが彼の机の近辺にある事、また暗証番号が「下2ケツ（7ケタの反対から逆2番目から4ケタ）」である事がユウキ達に分かってしまったとの事です。
一方、未だに解放されずに囚われの身である“義賊”の若者ユウキ・ヒロシ・ミツルの3人は、途方に暮れていました。ユウキとヒロシは、自分達は一体どうなるのか、“義賊”などやらなければよかった、自分達は悪くない、零のせいだと涙ながらに言い出します。
それに対しミツルは横たわりながら、“悪く言うな…！零を…！”と反論します。そして“風穴が空いたんだ…本当に…！オレ達の出口のない人生に…風が吹き抜けた…！”と告げ、零との出会いを話し始めます…。
一見すると“勧善懲悪”物の様に見えて、読んでいくうちに決してそうはならない事が分かり、巧みな物語展開が期待できそうな感じです。そして、お金が絡むと人間はかなり綿密な研究や仕掛けを行える事が分かります。
第2話 王への試練
日本一の資産家であり在全グループ総統・在全無量の指示のもと、零やユウキ達、更には末崎や板倉らまでも、“王への試験”を参加させられる事となりました。その三日後、彼等は某所の山中にある在全グループが建設中の「夢王国・ドリームキングダム」へ集められます。
その日は零や末崎の他にも、大型バスに乗せられやって来た多くの男達がやって来ていた。一同の前で在全グループ幹部・後藤利根雄が立ち、“さあ…遊んでもらおうか！このドリームキングダムで、今日これから…命懸けでっ…！”と告げ、周囲を動揺させます。
その時、末崎が零達の方にやって来て、“今回のこれ（在全が言う“王への試験”）は、おめえらみてえなやる気のねえ奴らに…参加する資格はねえ…！今回の「これ」は、大いなる野望を胸に抱く野心家…そういう男が参加すべき性質のものなんだ…！”と挑発するも、どこか表情は青ざめていました。
また末崎は、ミツルが“義賊”としての活動の際に背後から内臓の部分を刺されるも生き延びた事を指摘し、それは大した“幸運”だが、この場で生き残る“強運”は無いと言ってきます。
それに対しユウキが、この集まりに“運”が関係しているのか聞くと、末崎は“大ありよ！いいか…！今日これからここでやるのは…ギャンブルだ…！”と告げます。
数ヶ月後に世界中の富豪達がギャンブルで“富を統一させるバトルが行われ、日本からはただ一人、在全無量が出るとの事です。
そして今回の集まりは、在全家の資産を種銭に戦うギャンブラー（代打ち）を見出そうという企てという事であり、「勝ち」を得た者に待っているには“王”です。
一同の前に再び後藤が現れ、“我々は求めておるのだ…！在全様の三兆を託すに値する…天才っ…！日本代表代打ちを…！”と告げます。
更に“無論…ギャラは弾む…！”と言い、部下達に用意させたのはブロックの様に積まれた「一千億円」であり、一同を騒然とさせます。
あまりの迫力に圧倒され末崎や周りの者は嗚咽するも、やがて次々と男達が“やるぞっ！”と参加の意を示しますが…。
やはり見た事も無い様な大金（ここでは「一千億円」）を目にすると、人は肉体的にも精神的にもおかしくなる様な感じがします。金に全てをかける人生とはどんなものだろうかと全く想像ができません。
第3話 鉄球賭博
男達が大金を前に集会へ参加の意を示したのに対し、後藤が“代打ち選出の試験”を始める前にちょっとした“ゲーム”を行うと言い出します。
それは1～6まで大きなサイコロの目の下にそれぞれ集まるエリアにそれぞれの判断で各エリアに入る“サイの目当てゲーム”で、後藤は建設中の「ドリームキングダム」のイメージ映像もスクリーンで見せ、
（アトラクションとしての“サイの目当てゲーム”は）エリアに入ったサイコロの目が当たれば「ドリームキングダム」で使える金券が上から舞い降る仕掛けであるものの、外れた方には鉄球型の風船が落ちるという仕掛けでした。
しかし今回は風船ではなく本物の鉄球が用意され、“目は当てられなくても…サークルに入ることが出来た者には、その度胸に免じ…本会場への入場を許そう…！つまり…当たり…と一緒という事だ…！出血大サービス！”という理不尽な事が後藤から告げられます。
後藤の言葉にメチャクチャだと口にする周りの男達に対し、それは違うと末崎は言い出し、後藤が先程サイコロを振り「1」を3回連続出した事、（今回の集まりが）“直観と観察の勝負”だと告げた事を指摘します。
後藤が先程サイコロを振った様に、また都合よく「1」が連続出る事はあり得ないと考えつつも、万が一の出来事を考えるとやはり恐ろしくて一歩踏み出せないのが本音であるものの、そんな状況でも判断し動ける“勝負度胸”が今回試されているのではと末崎はそう判断していました。
そんななか一人の少年が黙ってサークルの方へ入っていき、それに続き末崎や他の男達が大金「一千億円」を求めて巨大サイコロ下のサークルへ入っていきます。
多くの男達は後藤がサイコロを振って連続で出した数である「1」の方へ行くも、零やユウキ、そして真っ先にサークルへ入った少年は、（「1」に入りきれず）それぞれ別の番号へ入ります。
そして後藤は再び器の中へサイコロを振り、そこで出た数は…。
恐らく最も狂ったアトラクション・ゲームと言えるのではないかと思え、後藤が言った“出血大サービス！”というのはその場で起こる出来事を意味する様にも感じられました。また最初にサークルへ入っていった少年の死んだ様な目からも、怖さを感じました。
第4話 アクシデント
後藤がサイコロを振り出た数字とは違う数のサークルへいた零やユウキ達に対し、鉄球が落ちて来るも、彼等はサークルの外側にいた為に鉄球を避けて無事に助かります。
後藤は“鉄球の隙間とサークルに入れば合格”という、少し頭を働かせれば誰でもクリアできるという事を告げました。結局、合格者は零やユウキら含む僅か23名で、末崎ら他の者は鉄球が落ちる前にサークルから出る等して脱落しました。
後藤の部下がサークルの扉を開き、ユウキやヒロシに続いて零が外へ出ようとした時、ミツルが腰を抜かして立ち上がれないと言い、零が彼を立ち上がらせようとします。
その時、二人の頭上にあった鉄球を吊るしてあった鎖が切れ、鉄球が落ちてきます。それを見たミツルが慌てて、零を守り自ら鉄球の犠牲になります。
後藤の部下達が急いでミツルをサークルから引き出し、零も必死で声を掛けるが、ミツルは徐々に意識が遠のいていくのを感じていました。
遠のく意識のなかでミツルは、自分の何も成し遂げられなかった人生を振り返り、目から大粒の涙をこぼします。
そして“オレを…義賊にしておくれよ…！勝って…勝ち続けて…大金を掴んで…その金で…救ってやってくれ…！苦しんでる人達…”とミツルは目の前にいる零に告げ、部下達によってタンカに乗せられ運ばれて行きました。
そんなミツルを尻目に、周りの男達は“合格者”が一人減ったと喜ぶなか、末崎が臆面もなく自分を代わりに“合格者”にしてくれと言い出すと、後藤はその図々しさが気に入ったとして認めると言い出します。
末崎の行動を目の当たりにした零は、“闘うっ…！勝たせてたまるか…！あんな連中を…！”と決意を新たにしました…。
ミツルの怪我を見ると、鉄球の事故といったものも“認証済み”の様に見えて、人権は無い様に見えました。まして、“合格者”が一人減った事を周りの男達が喜ぶ行動から、金は人を狂わせるという事が見事に表現されていると思えました。
第5話 入場
零達、23名の合格者が仮設ゲートをくぐると、またも数え切れない人数の男達がおり、零や末崎達は動揺します。彼等について末崎が尋ねると、後藤は“他のゲートからの合格者”だと答えます。
後藤は再び一同の前に立ち、待ちに待った「本番」のゲームの時が来たと告げ、ルールについて説明を行います。
「ドリームキングダム」内にある、40を超えるアトラクション形式のギャンブルの中から、好きなものを選び参加し、ゲームに勝てば、（後藤が一同の前で見せた）リングを一つ獲得でき、リングを計三つ獲得した者が合格で、次の決勝ステージへ行けます。
そして、また各ギャンブルは「セーフティー」「マイルド」「ハード」（低い～高い）と各レベルに別れているうえ、一度でも負けたら敗退だけでなく精神的ダメージが伴います。
また後藤は、特別サービスとして、「ジュニア」（勝てばリングが獲得でき、負けても時間を無駄にするだけ）を用意した事を告げました。
制限時間「3時間」という厳しい状況のなか、ギャンブルバトルが開始されました。多くの男達はやはり直ぐにリングを獲得したいが為に「ジュニア」の方へ殺到し、入口にはあっという間に長蛇の列ができます。
ユウキ達も「ジュニア」へ向かっていましたが、“120分待ち”だと聞き失望します。するとそこにいた零は、近くにあるレベル「マイルド」である「ジャックルーム」へ向かいます。
ユウキ達は驚き、ヒロシが引き止めるも、零はこれでいいと言います。そして、“確かめてみたいんだ、この大仰なギャンブル大会を主催している…奴らの肚…！連中が何処迄本気なのか…？”と告げ、零は中へ入って行きます…。
多くの男達がリスクの少ない「ジュニア」へ向かう事から、楽して金を得たいという心理が見え、これは現代人の姿と同じ様に思えました。零の様に、あえて荒野を目指すという事はあまりないのかもしれませんね。
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