不死身のテロリストと人間との戦いを描いた桜井画門先生の傑作SF漫画『亜人』。
『亜人』第4巻は、研究施設から川へダイブをして逃げ出した永井圭(佐藤健)と厚生省前でIBMを使い亜人にだけ教えた秘密の場所で集会を行う佐藤(綾野剛)の物語から始まります。
想像した内容の斜め上を攻めてくる原作者の桜井画門さんには脱帽です。
一喜一憂することなく、ガンガンと緻密に練られた物語は進んでいきます。
亜人4巻 ファイター
亜人 4巻
前にも話した通り、『亜人』の魅力は桜井画門さんの作画のクオリティが高いというところにあります。
ちょっとした見開きでの絵など、やっぱりカッコいいし、上の絵とかでも、そのたたずまいだけで力関係がわかるようになっています。
そして、集まった亜人に佐藤は「大量虐殺をする」と言い切ります。
それに対しもちろん反対の亜人たちもおり、そこにめがけて隠れていた田中(城田優)が狙撃をします。
なんとか逃げのびれたのは中野攻と秋山礼二(消防士)。
二人は逃げる途中で仲間にならなかった奴らはドラム缶にでも入れて地下に置いとくと佐藤は言い捨てます。
佐藤チームが二人を追い詰めたとき、秋山礼二が中野攻に佐藤を止めるようにたくします。
その際、中野はビルの上から飛び降りるシーンがあるのですが、この構図が最高にカッコいいです。
ぜひ手に取って見てもらいたいです。
亜人4巻 逃亡者
戸崎(玉山鉄二)は佐藤が集会を開いた厚労省前で撮られたテレビカメラの映像を解析し、中野攻が亜人だということがわかり、中野の家に捜索に出ます。
佐藤の手から逃げ切った中野が自宅に戻ると、すでに部屋には戸崎の仲間が詮索をしているところでした。
この後の逃走シーンで中野はマンションからダイブするのですが、この時の構図が前回のビルからダイブする構図と逆になっているんですね。
このあたりの芸の細かさが桜井画門さんのスゴイところです。
なんとか逃げ切れた中野は逃走中に電車内から見た景色に、亜人のIBMの痕跡があったことを思い出し、その痕跡の有った場所に向かうと、そこには永井圭がいました。
そして、中野は永井が研究所で見せた行動から、永井圭が佐藤と対立している立場だとわかっていたため、一緒に佐藤を止める手助けをして欲しいと永井に頼みます。
亜人4巻 ダブルチーム
山中のおばあさんにかくまってもらっている永井圭は中野にこの田舎がセーフゾーンだと言います。
田舎のおばあさんにかくまってもらうのは、岩明均さんの『寄生獣』にもありました。
これは桜井画門さんが尊敬している岩明均さんへのオマージュみたいなものなのでしょうか?
または、日本の田舎に対する美意識があるからでしょうか?
そして、ここで永井圭のクズっぷりが現れます。
せっかく手に入れたセーフゾーンを捨てて、佐藤に敵対することは理解できないと。
中野に毒入りのオニギリを食わせます。
ここから中野と永井との戦闘シーンが始まるのですが、やはり亜人という特異体質から、変わった戦闘シーンが見られ、かなり面白いです。
亜人4巻 フリンジ
インターネットにより佐藤は「水曜3時グランド製薬本社を爆破する」と犯行予告をしたことにより、日本中で大騒ぎになっていました。
また、研究所内では永井圭が逃げたことにより、戸崎は消される一歩前となり、後継に曾我部が亜人管理委員会に入ってきます。
追い詰められた戸崎は、拉致したオグラ・イクヤへの尋問を強化し、亜人の情報を引き出します。
アメリカで実績を上げたオグラ・イクヤは多くの亜人情報を持っていました。
- ここ数年、亜人が自分以外にもう一つの肉体を作り出すことができるようになったこと。
- 形状は個々によって変化し、手・口周辺が武器化すること。
- 身体能力は人間と変わらないが、脳の制約を受けないため火事場の馬鹿力が出せる。
- IBMは極めて不安定な物質で、発生と同時に崩壊が始まっている。
- IBMは5~10程度で自動的に消滅してしまう。
- 宇宙の意思に反した物質を出すため1日に1~2体が限度。
- IBMは電磁波で亜人と意思疎通ができる。(雨の日は意思疎通が難しくなる)
- 異常な感情の高まりと復活が重なると、ごく稀に“フラッド現象”が起こる。
『亜人』4巻のこの回は、今までわずかしか情報がなかった亜人に対する知識の再確認と、今後の伏線がはらんでいるように思えます。
そのうちの一つが、永井圭のIBMと出会った佐藤が、IBMに対して実験を行っています。
この辺の内容は、アニメ版ではそこまで触れていないですが、後の戦闘シーンでも生かされてくるので必読です。
亜人4巻 派手に行こうぜ!
グランド製薬本社が万全の警備でテロ対策をしている中、佐藤は思いもよらない攻撃方法をします。
この部分はアニメ版とかなり違うのですが、何で変えたのでしょうか?
アニメのスポンサーとかの兼ね合いなのかもしれません。
ひょっとしたら、海外向けとしての配慮なのかもしれません。
それにしても、桜井画門さんの画力はヤバイです。
大友克洋さんの『AKIRA』再来で興奮します。
亜人4巻の感想まとめ
徐々に明かされていく亜人の力や、緻密に構成されたストーリー、『AKIRA』を彷彿とさせる爆破シーンなど、『亜人』4巻は本当に手に汗握ります。
そして、非常なまでの佐藤の性格に、違和感を感じ始めた田中の人間としての優しさが4巻あたりから描かれ始めます。
『亜人』は文句なく名作ですね。
ぜひ、何度も読み返してほしい作品です。
亜人 4巻
