森 恒二先生の『自殺島』第4巻では、グループの中心的存在だったリョウですが、島から出られないことや、己の無力感から心が折れてしまいます。また、再び山に入ったセイは自分を追って山に入ってきた無法者たちとの対決を余儀なくされるのでした。
『自殺島』第4巻には第31話から第40話まで収録されています。
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目次
第31話 漂流
様態の思わしくないリョウのお見舞いにやってきたセイとトモ。彼らはリョウの側でずっと彼のことを見守っている女性に海であった出来事について話をしてもらうことに。
巡視船に見つかって筏を撃たれたことや、バラバラになった丸太にしがみついていたら島にたどり着いたことを彼女が話していると、突然目を覚ますリョウ。彼は声をかけてくる彼女やセイたちに対して外してくれねぇかと覇気のない声で告げる。
リョウに声をかけて部屋をあとにしようとしたセイたちのもとに現れたスギは、顔に傷を負っていた。そんな彼は一言謝罪をすると、肉を奪われたと口にするのだった。
一人部屋に残ったリョウはどこにもいけない自分に情けなく笑うと、チクショウと言葉を漏らすのだった。
第32話 邪な物
数日が経ちようやく体が回復したリョウ。しかし、彼に以前のような元気さや、皆を引っ張っていくリーダーシップは失われていた。そんな中、無法を働くものたちを止めるためにもっと食料が必要だと考えたセイは再び山に入ることを決める。
翌日、スギやトモといくつかの合図を決めたセイがイキルと共に山へ入ると、途端にイキルが自分たちが歩いてきた方向に向かって唸り出す。セイがそれを不思議に思いイキルの向いている方向を確認すると、そこには武器を持った無法者たちがいた。
彼らを見たセイは怒りと恐怖を感じながら、邪なものを山に入れてはいけないと思うのだった。
第33話 山
自分たちに彼らがついてきていることを知ったセイは、小屋を知られないため海側の斜面へと誘い込むことに。
夜、セイの居場所を把握した男たちが森の中で焚火を囲いながら話をしていると、どこからか突然セイが話しかけてくる。セイはどうせ死ぬから好き放題やってやると言う彼らに対して、それなら僕も、と声をかけ、いつでも射れることを教える。
慌てて火を消した男性の一人はセイの声やイキルが唸る声でパニックを起こしたことで森の中を駆け出してしまう。暗闇の中を走り回ることが危険だと知っていたセイが彼のことを止めるために追いかけるも、彼は足を踏み外し、暗闇の底へと落下していってしまうのだった。
残った二人のもとに姿を現したセイは、落下した彼が振り回した包丁で傷を負った一人の男性に簡易的な治療を施す。そして、ここは本当に大事な場所なんだと口にするのだった。
第34話 同行
翌日、鹿を狩れるポイントまで急ぐセイとイキルに、腕をセイに手当してもらった彼はなぜかついてきていた。
どうしても帰る気のない彼に対して、セイは別行動をとることを提案すると、置いていく気かと慌てた様子で言う男性。そんな彼に対して違うと答えたセイは、こっちが風上だから峰まで急いで回りこまないといけないことを丁寧に説明する。
渋々セイの指示に従った彼が指示通りの場所に到着して力尽きてへたり込むと、突然丘の上に回り込んでいたセイが飛び出してきて鹿を射止めるのだった。
第35話 謝罪
鹿を仕留めたセイに物凄く感動する彼と共に、彼がここに来る時に見つけたという沢へ鹿を解体するために移動することに。
夜、鹿の解体を終え、その場でしか味わうことできないレバーを彼にごちそうすると、初めてセイが食べた時同様に言葉にならない美味しさで感動を覚えた様子を見せる男性。
食事を終えた彼は美しい鹿を間近で見たことや、その命をいただいたことを総じてすごい体験だったという。そして、セイに対して本当に悪かったと土下座をするのだった。
第36話 悪夢
殺してしまったかもしれない彼、吉村や、今まで亡くなった人たちの悪夢にうなされていたセイは彼の呼ぶ声で目を覚ます。心配する彼をよそに、前を向くと、そう決めたセイは、目の前のことをやるため、川に沈めた肉を回収しに行くと彼に告げる。
数時間かけて行った精肉作業で取れた肉を干し肉にするための仕込みを施したセイたち。彼らは残った肉で食事をとることに。
吉村のことを考え肉に中々手をつけずにいられないでいるセイを気遣った彼は、先日の出来事が仕方なかったことだと言う。それでも僕が殺したとうつむいて呟くセイに、彼は精一杯自分たちが悪かったことを伝える。さらに、今まで何一つ成し遂げたことのない自分でもセイが鹿を倒すのを見たことで何かを出来るんじゃないかと思ったと、セイのおかげで前を向きたいと思えたと告げる男性。
最後に自分の名前を名乗ったケン(ケンイチ)は、照れくさそうにしながら俺たち仲間になれねえかなとセイに告げるのだった。
第37話 帰還
山に入って三日目、さらにもう一頭鹿を獲ることのできたセイたちは収穫した獲物を持って廃校へと帰ることに。
廃校に戻ったセイがどこか様子のおかしいことをケンに話していると、偶然通りかかったトモやスギたちが現れる。
気持ちが変わったというケンの謝罪をスギが受け入れたことで話題はグループの様子へと変わる。
トモが青木と吉村が、と口にした瞬間にそのことを詳しく聞こうとするセイだったが、そんな彼にスギは場所を移そうと告げる。
教室に場所を移したセイたちは、そこでスギから吉村が帰ってきたこと、そして、その後亡くなったことを聞かされる。さらに話を続けて、問題はその後だと彼が口にしたその時、教室の外から青木やその仲間の野口たちがセイに向かって「人殺し」と言い放つのだった。
第38話 孤立
青木らに肉を奪われないために沢まで肉を隠しにやってきたセイは、一緒についてきてくれたスギから悪いニュースばかりでもないと告げられ、ある場所に連れていかれる。
スギたちにイモ等の作物を見せてもらったセイがその近くを通りかかった仲間の女性たちに声をかけるも、それを無視した彼女たちはそのまま行ってしまう。茫然と立ち尽くすセイに声をかけた帽子を被った彼は、怖いんだよと告げ、セイを人殺し認定するのだった。
畑をあとにしたセイたちは道端でケンが青木らに暴力を振るわれているところに遭遇する。
ケンを助けるべく仲裁に入ったセイに向かって、暗闇の中弓や犬を使って吉村を殺した人殺しだと、吉村自身もそう言っていたという青木。しかし、そんな彼の言葉を突然現れた元看護士の彼女が否定する。そして、亡くなる前に吉村がセイに謝ると言っていたことを打ち明けるのだった。
夜、どうすりゃいいと一人呟く青木のもとに現れた謎の人物は、彼にもういいんじゃないかと優しい言葉をかけながら、ロープを手渡すのだった。
第39話 対立
朝、イキルの吠え声で起こされた皆が校庭に集まると、そこには自分の遺体を晒すように校舎の正面に首を吊られた青木がいた。彼の遺体を見て顔を青くしているセイに対して、今やグループの中心となったスギが気にするなとフォローを入れてくれるのだった。
その日の漁を終えて収穫した魚をセイたちが持ち帰っていると、その道中に魚を奪いにきた野口たちが現れる。
持っている得物の差でセイたちが追い詰められている中、そこへ偶然リョウが通りかかる。彼の登場に希望を持ったセイたちだったが、リョウはこちらを一瞥したあとに、そのまま通り過ぎていくのだった。
第40話 大切なモノ
その日の夜、自分たちを見捨てたリョウのもとへやってきたセイは彼になぜ今日自分たちを見捨てたのかと問う。そんな彼に、リョウはもう勘弁してくれ、俺には何もない、頼むから放っておいてくれと告げるのだった。
完全に心の折れているリョウに対して、セイは、リョウからオマエに会えてよかったと言ってもらったことや、皆からの言葉が大切なモノとなったと言う。そして、もしリョウが自分たちを関係ないと言うのなら、あの言葉を失うと、彼をまっすぐに見つめながら告げるのだった。
翌日、セイの強い気持ちに引っ張られた皆が漁に出向くと、再び野口たちが現れる。彼らが現れたことでトモが涙を見せ、やっぱりムリだよと言葉を漏らしたその時、セイたちのそばに現れたリョウがやらないのかよと声をかけるのだった。
自殺島 4巻 まとめ
この島から出られないことを知り、その無力感から完全に心が折れてしまったリョウでしたが、そんな彼や皆からの言葉で大切なモノを得たセイが、彼の本来の姿を取り戻すのでした。
『自殺島』第4巻では、そうしたリョウの立ち直る姿が見られるのでした。
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