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SF バトル・格闘・アクション 完結マンガ

漫画『デストロイ アンド レボリューション』1巻ネタバレ|圧倒的な力を持ち…

森恒二先生のSFバトル漫画『デストロイ アンド レボリューション』第1巻は、気弱な男子高校生・田中マコトは教室にて、長髪の同級生・ユウキに声を掛けられます。学校内の有名人で友達も多いユウキが、何の接点もないマコトに近づいたのにはある理由がありました。そしてこの行動は、周囲を一変させる事態へと繋がっていきます…。 

 

漫画『デストロイ アンド レボリューション』第1巻には第1話~第10話までが収録されています。

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1話 僕らの憤り 

一人の長髪の少年ユウキが、空に手をかざしながら、隣で座り込んでいるもう一人の少年マコトに話しかけていました。その直後、彼等の目の前にあった建物が一瞬のうちに崩れ去ります。 

マコトはこの時思ったのです、“僕らは始めてしまった、愚かで無垢な、破壊という名の革命を”と。崩れるビルを眺めつつ、もう戻れないけど大丈夫かと聞くユウキに対し、大丈夫じゃないけど行けるところまでついていくと答えたマコトでした。 

その後、建設中の議員宿舎であるマンションが倒壊したというニュースが報道され、“闘う者”という集団からの犯行声明も発表されました。 

 

話はマコトとユウキとの出会いに遡り、高校にてユウキがマコトに声を掛けて来たのが、そもそものきっかけでした。これからよろしくと挨拶を交わす一方、“君…変わってるね”と話すユウキの言葉にマコトは理解ができませんでした。 

校内ではちょっとした有名人であるユウキが何故、自分の様な目立たない者に声を掛けてきたのか、マコトは不思議に思っていました。ユウキが述べる“変わってる”事を挙げるとすれば、自分には両親がいなくて祖母と二人暮らしである事だとマコトは考えます。 

 

マコトが小学生の時に、事業に失敗した父親が自殺します。更に、借金に負われた母親もマコトが中学生の時に蒸発し、生活保護を受ける祖母に預けられる事となります。 

その事で周囲から白い目で見られる様になり、酷いイジメを受けた事もあり不登校となり、フリースクールや精神科を行き来する状態でした。 

 

マコトは校舎外の階段にユウキを呼び、自分に声を掛けた理由を尋ね、自分とユウキはあまりにも違う、ユウキは友人も多いから彼等と接すればいいとマコトは言います。 

それに対しユウキは“何も違わない”と答え、イケてるイケてないとかいう事はせいぜい10年くらいだと話します。それでもマコトが、ユウキなら色々と手に入れられると告げると、それは“お金”や“女性”といったものかとユウキは答えます。 

 

マコトが返答に困っていたのに対し、ユウキは“経済なんかに全く興味ないよ、ひょっとして人間が作った一番無意味なモノなんじゃないか?”と話します。 

更にユウキが持論を述べていた矢先、マコトは下の方から悲鳴が聞こえるのに気付きます。見ると、数人のガラの悪い学生が一人の男子学生を脅し、金を巻き上げていました。 

それを見たユウキは、階段の傍にあったレンガを拾い上げ、下へ目掛けて投げつけます。ユウキが投げたレンガは、脅していた一人の学生の頭に直撃します…。 

 

ユウキとマコトのやり取りを見ていると途中まで見ていると、一瞬“勧善懲悪物か?”と思っちゃいましたが、決してそうではない事が分かりました。2000年代頃から社会や時事ネタ等に対し、複雑な心理描写が表現されている事が感じられます。 

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2話 力を持つ資格 

ユウキは、彼がレンガをぶつけた学生の仲間数人に捕まり、痛めつけられていました。彼等は、ケガをした学生が退院した際の詫び代と治療費を用意しておく様に言います。 

そして、暫く付き合ってもらうと話し、その場を去ろうとします。するとユウキは、その場にいた数人の名前を一人ずつ告げ、“これから本格的につき合うわけだ、後先考えずにあそこ(階段の上)からレンガを投げる奴と、徹底的に”と話したのでした。 

そんなユウキの言葉を聞いた数人らは怖くなったのか、思わず逃げ出します。 

 

その後、河川敷にいたユウキの携帯に、先程の学生達から、謝罪とユウキとマコトへの治療費を払うという連絡がありました。携帯を切った後、ユウキは彼等が進学志望で本物の“アウトロー”でない故に、所詮そんなものかと話します。 

隣にいたマコトは、よく彼等の名前や進学する事を知っていたなと聞くと、ユウキは“ああ…全員知ってるよ、校内全員の”と答えます。 

ユウキは、限られた時間の中で有意義に過ごしたいから、様々な生徒に実際に会って話したりして、どんな生徒なのか、どんな実力や魅力を持ち、高い次元で話ができて将来が有望なのか等と、確かめていると話します。 

 

そんなユウキは間違っているとマコトは話し、自分は倒産した工場の一人息子なうえ、体が弱い祖母と暮らしており、校内で“最も何も持っていない”人間だと話します。 

ユウキが話す“高い次元”や“有望な未来”とは無縁だと告げるマコトに対し、そうだねと言っては先程の学生達に殴られた事を話し笑うだけのユウキでした。 

 

そんなユウキには学生達に対抗できる力があるけど、自分には何もないと憤慨するマコトでした。 

ユウキはマコトを落ち着かせ、この学校では高確率で東大やスポーツ特待生で大学に進学できる者もいて、そんな生徒とも付き合ってきたとユウキは言います。 

 

またユウキは、マコトといる時間が一番長く、理由は分からないがどういうワケか引きつけられると話します。そして、“マコト、君には何かある。マコト…君は何か隠してない?”と告げたユウキの言葉に、マコトは背筋が凍ります。 

マコトはこの時、昨夜に部屋のスタンドライトの一部を紙屑の様に潰した、恐るべき力の事が頭をよぎっていました…。 

 

ユウキみたいな者が政治的リーダーになったら、非常に恐ろしい事になってしまいそうだなと思いました。それを考えると、マコトはユウキの行動を抑制させる側につく役割を果たしているのかもしれません。 

 

3話 終わりと始まり 

マコトの祖母が病の末に亡くなりました。火葬場で祖母の遺体を焼く煙を見つめながら、マコトは祖母の人生は何だったのだろうか、祖母が笑った顔は何回見ただろうかと考えていました。 

そこへ静岡からやって来た、マコトの父親のいとこ夫婦がやって来て、マコトは彼等に挨拶をします。 

 

いとこ夫婦はこれからどうするのかとマコトに尋ね、また以前亡くなったマコトの父親が工場や土地を売った際の財産があるのではないかと聞きます。その管理を任せてくれたら、マコトの面倒を見ると話します。 

そんな彼等に対しマコトは、“ぜひ面倒をみてくれると助かります…銀行に数百万の借金がありますが、僕とあわせて面倒をみてくれると助かります。”と無表情で答えます。 

いとこ夫婦は言葉を失い、また手の平を返してその場を立ち去ろうとします。 

 

車へ乗り込むいとこ夫婦を見送りつつ、マコトはかつて母親が出ていった時に、祖母が言った“もしママが帰ってこなくても、ママを恨んじゃいけないよ、人を…恨むんじゃないよ”という言葉が頭をよぎっていました。 

しかしマコトは、自分は祖母の様には生きられないと思いつつ、右手をいとこ夫婦の車に向けてかざしていました。 

そしてマコトが右手を握った瞬間、夫婦の車のエンジンはかからなくなり、彼等はパニックになっていました。マコトの右手には握りつぶされた車のエンジンがありました。 

 

祖母が亡くなってから数日後、降りしきる雨の中、マコトのアパートへユウキがびしょ濡れの状態で訪ねてきます。 

少し話さないかと告げるユウキに対し、マコトは今一人でいたいから玄関のカサを持って帰る様に言います。 

するとユウキは、実は毎日ここを訪ねていると話し、更には“君がどこかにいなくなるのが…怖いんだ。自分をコントロール出来ない…こんな事は初めてだ…”とまで告げるのでした。その言葉にマコトは…。 

 

マコトの親戚の態度を見て、やっぱりお金が絡むと人って変わるもんだなと改めて感じさせられます。そのうえで、人を赦す事の難しさが伝わってきましたし、マコトの顔からもその思いが伝わって来た様に思えました。 

 

4話 世界に問う 

ユウキがマコトのアパートの部屋に入ると、スタンドライトやタンスのあちこちがへずられる様に溶け落ちているのを目にします。これらを見たユウキは、何か全身が“ヒリヒリ”する感じを覚え、また冷汗が流れ出るのでした。 

そんなユウキを見ながら、マコトは“ユウキ、本当の事だけ話して欲しい。君は一体これから、何をするの?”と淡々と尋ねます。マコトの質問に対し、“僕は…使い将来、人を100人以上…殺す”と答えます。 

続けて何故そんな事をするのかと聞くと、誰にも“無視させない為”だともユウキは言います。 

 

ユウキは、10人殺しても、政治家や団体のリーダーになってもたかがしれていると述べ、無視させない、“自分は死ぬかもしれない”と思わせなければ、人は耳を傾けないと告げます。 

そして“僕はテロリストになる”と告げるユウキがマコトに彼の意思を尋ねた際、ちょうど雨がやんだのをみて、マコトが外に出ようと言います。 

 

彼等が向かったのは地元でも一番大きなセメント工場であり、この会社は地元の議員をバックアップしています。そして十数年もの間、近くの河川を埋めたり削っては、また掘ったりしているとの事です。 

更に、会社が税金で仕事をもらっては、議員を当選させるといった事を繰り返していて、こんな事は全国で起こっていて、もっとバカバカしい事も起こっていて、この社会は終わりかけているとユウキは話します。 

 

ユウキが言った事に対し、難しい事は分からない、(目の前にある)セメント工場が嫌いなのかとマコトは聞きます。ユウキは苦笑いを浮かべ、確かにセメント工場が目障りで、以前あった川が綺麗だったと話します。 

マコトは、自分は人殺しはできないうえ、ユウキにも殺人をしてほしくないと告げる一方、自分もこの世界を憎んでいると話します。 

 

そして、“今から起こす事を見て考えてほしいんだ。ユウキ、君の予感は正しい、僕は何かを持っている、見るんだ”と告げ、マコトは工場に向けて右手をかざします…。 

 

世界中で起きている事件のテロリストがもし、ユウキみたいな考えを持っていたとしたらとても怖い事だと伺えました。明らかにそれぞれのメンタルが違い過ぎて、“世界平和”というものを実現するのは困難である事が分かります。 

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5話 僕の敵 

マコトは、セメント工場が全壊した事について、学校の同級生達が話しているのを聞いていました。そのなかでケガ人が出た事も聞き冷汗が出るも、人が死ななかったからホッとしたと自分に言い聞かせます。 

そこへ一人の女子生徒が声を掛け、学校来なかったけど家族の事で大変だったねとマコトに言い、担任から預かっていたというプリントを渡してきます。 

 

彼女の笑顔を見たマコトは、世の中は間違いだらけであっても、善良な人もいるという事も感じたのでした。すると、“ボクのマコトに何か用?”とユウキが割り込む様にユウキが告げ、マコトは女性に興味が無い等と言って女子生徒を冷やかします。 

そんな彼女は、常に一緒にいるマコトやユウキの事が気になっている様でした。 

 

学校の外へ出たマコトへ、ユウキが女子生徒に言った事を怒ってるかと聞き、あれは冗談だからとなだめます。 

それとは別にマコトは、セメント工場が倒壊しケガ人が出た事を話し、社会が悪くても、罪もない人を傷つけていいはずがないと話します。 

するとユウキは“じゃあ悪人…犯罪者が、この世界を作ったの?”と答え、その言葉にマコトの心は揺らぎます。 

 

ユウキは、この歪んだ世界を作っているのは“犯罪者”ではなく“普通の人々”だと話し、そうだとしたら“普通の人々は僕の敵だ”と告げます。 

その言葉にマコトはこわばった表情を浮かべるも、ユウキは直ぐに笑みを見せます。そして、マコトの気持ちは分かるし、無視はしないとユウキは言います。 

またユウキは、理科室を借りたから、学校に戻ろうと話します。 

 

理科室にて、マコトは丸太の一部を溶かし落とします。マコトが溶かした一部を手に取りつつユウキは、“強く念じる念動”等といった何かコツみたいなものはあるのかと聞きます。 

そういうものはなく、“思う”に近い、“気づき”に意識を向けているとマコトは言います。 

そしてマコトは、“気がついたんだ…ある事がきっかけで、全てのモノは一つだと”と、ユウキも動揺させる言葉を口にします…。 

 

同級生の女子生徒が出て来た事により、マコトとの“淡い恋”的な感じがあるかと思いきや、あくまでマコトとユウキが主要人物であった事を思い知らされます。それに彼女を凌ぐ強い個性のキャラクターの持ち主も現れるので、切り替えが必要だなと思いました。 

 

6話 気づき 

マコトは中学校へ入って間もなくうつ病と偏頭痛を煩い不登校となり、診療所へ通う事となりました。その診療所でマコトはある噂を耳にします。 

それは、“ある人”を担当した事でカウンセラーや担当医が辞めていった、更には頭がおかしくなった者もいるというものです。そして、マコトはその“ある人”に出会ったと話します。 

 

マコトは診療所で担当医からカウンセリングを受け、近況等を話していました。担当医師は、あまり先の事を考えずにゆっくり歩んで行く様にと話します。 

マコトは、祖母がいつまで働けるかわからない、本当は早く診療所を早く出たいとして、医師が言う“先の事”について心配していました。一方で、学校に行かないだけで随分楽だとも思い、この何も無い場所で人に会わず、何もしないでいたいとも考えます。 

 

そんななか、診療所内へ響きわたる悲鳴が聞こえてきます。誰か患者が発作を起こしたのではと、数人のスタッフが駆け寄ります。マコトもその場へ向かうと、何と悲鳴を上げていたのは自分の担当医師でした。 

彼は、“ぼ…くはここにいるのか!?ほ、本当にいるのか!⁉やめろ…や、消えたくない”と支離滅裂な事を叫び、壁にしがみついていました。 

 

マコトはその場から離れつつ、担当医師が以前から噂になっていた「ある人」と会ったのではと考えます。その直後、マコトは初老の男性が一人、ベンチに座っているのを見かけます。 

マコトはベンチに座り、その男性の様子を伺っていました。すると男性はうっすら消えかかっている様に見え、マコトは驚き目をこすります。そして再び男性を見ると、今度は巨大化しているかの様に見えます。 

 

これはきっと服用している薬による“幻覚”だと自分に言い聞かせるマコトでしたが、体からはとめどなく汗が流れ出ます。 

するとその男性はマコトの顔を見て、“君に呼ばれたから来たんだよ…行こう…君を苦しめるモノなど、存在しない事を…見せてあげる”と告げ、マコトに手を差しのべます。それに答える如く、手を出したマコトは…。 

 

マコトの“ある人”との遭遇は何だか“洗脳”に近い様で、マコトのみならず、どんな人でもおかしくなる、自分は絶対にならないという事はなさそうだなと思いました。まして“君に呼ばれたから”なんて言われると、特別感を持ち尚更引き込まれていきそうに感じられました。 

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7話 儀式 

マコトから診療所での出来事について聞いたユウキは、マコトに手を差し出し“今すぐ僕に気づきを与えてくれ”と告げます。 

マコトは、危険だと思ったら中断し二度とやらないと言いつつ、診療所で会った老人と同じ方法を行うと告げます。 

 

先ずマコトが“気づき”に集中し、ユウキを巻き込むという様な事を告げます。そしてブラックアウトが起こり、気絶みたいに真っ暗な状態となる等とマコトが説明をするなか、ユウキが頭では考えたくないから情報を入れるのはやめようと話します。 

マコトはユウキの手を取り、“行こう、そうだ…行こう…ユウキ、この世界の先へ…ユウキ…”と念じます。そして、ユウキの頭の中にも“さあ行こう、個を捨てるんだユウキ、自由になれ…ユウキ”と聞こえ、そのマコトからの“気づき”はユウキの体に浸透していくかの様でした…。 

 

マコトがユウキに訴えた“個を捨てる=自由になる”という事はもはや、己の命を捧げる事に他ならないのかなと感じられました。ユウキの体中にマコトの顔が張り付いているというホラー的な表現が尚、分かりやすくて怖さが伝わってきました。 

 

8話 僕らの敵 

マコトが行った“気づき”によりユウキは倒れ病院に運ばれ、三日間昏睡状態となりました。 

それから一ヶ月後、退院して療養しているユウキに呼ばれ、マコトは彼のもとを訪ねます。 

ユウキは自宅から20分程離れた場所で一人暮らしをしていました。 

 

するとユウキは突然、血液型を尋ねてきます。マコトは“O型”だと答え、何故そんな事を聞くのかと、ユウキを不思議そうに見ます。ユウキは自分の血液型は“B型だった”と話し、今は“O型”だと話します。 

他にも、赤血球や白血球、血小板の数値が安定しない等、体の中で予測できない事が起き、“死にかけた”とユウキは言います。 

 

それを聞いたマコトは体を震わせ、“僕はもう…(”気づき”を)二度とやらない!”と告げたのに対し、ユウキも自分が死んでしまったらもとも子もないと答えます。 

一方で、“破壊”を実行するのはマコトだと確認するかの様にユウキが言うと、マコトは大丈夫だ、もう決めていると話します。 

 

続けてマコトは、“世界を変える”と言っても具体的に何をすれば言いのかと聞くと、ユウキは“僕らの敵は誰だ?”と逆に疑問を投げかけます。マコトはたどたどしく“世の中”とか“企業”等と答えるも、ユウキの“答え”にはなりませんでした。 

いきなり世界中を相手にできない一方、犯罪者一人一人を叩いたところで世の中変わらないとユウキは話します。 

そして、“世の中を…社会を作っている人間達と戦うんだ。僕らの敵は…日本国政府だ”と告げたのでした…。 

 

ユウキの戦う相手はとても明白であり、“有言実行”が彼のキャラクターにより見事に表されているかの様です。口で色々と文句を言うのは簡単だが、いざ行動に移れるかというとなかなか難しいのかなと感じられました。 

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9話 標的 

ユウキとマコトは、“標的”とする議員宿舎である高級マンションの下見に訪れます。その際、ユウキが長い髪を後ろに結んでいる事が気になったマコトであり、何か意味があるのかと尋ねます。 

するとこれは自分の父親への“嫌がらせ”だとユウキは答え、自分は亡くなった母親に似て思い出すから嫌だと父親が話したそうで、以来髪を切っていないとの事です。 

二人はマンションの前にやって来て、ユウキは“ブッ壊そうぜマコト、僕らの強烈なメッセージを奴らに送ってやるんだ”と告げました。 

 

そこから帰ったユウキとマコトは、マンション破壊について計画を練り始めます。ユウキは「ジェンガ」(倒れるまで順に積み木を抜くゲーム)をマンションに例えつつ説明をし始めます。 

ユウキは抜いていって倒れた積み木の様に、マンションも徐々に重要な部分を抜いていき一気に倒壊させたいと話します。難しいができるかとユウキが聞いたところ、“たぶん…出来る”とマコトは答えます。 

マコトが言うには、マンションの様な大きなものは壊したことがないうえ、徐々にやるとかなり時間がかかるとの事です。それに対しユウキは、これは“通勤”になると話します。 

 

そして先ず二人は、マンション近くの中に店がある雑居ビルへ向かい、そのビルのトイレの窓からマンションを眺めます。マコトは、“これは私怨だ、僕の、行き場のない、憤りをぶつける為の、これは儀式だ”と思いつつ、マンションへ向けて手をかざすのでした。 

その後もユウキとマコトは学校帰りにて、“標的”となるマンションへ向かうという、“通勤”を繰り返していました…。 

 

ユウキとマコトがたてた計画の如く、最近の犯罪やテロ行為も巧みに、計画的な感じへとなってきており、必ずしも安全な日々を送るのが難しくなっているのかなと思いました。 

また「ジェンガ」を例えにした様に、どんなに“頑丈”なものでもサポートするものがなくなったら崩れ去ってしまうのかなと感じられました。 

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10話 破壊と革命 

マコトは少しずつ、マンションの内部を破壊していきますが、建物にヒビが入り始めるなど、そろそろ限界が生じてきます。ちょっとした地震でも危ないかもと話すマコトに対し、ユウキは急がなければと告げます。 

またユウキの手元には“破壊する”と書かれた紙が数枚あり、それを手に取ろうとしたマコトに、咄嗟に触るなとユウキが言います。 

そしてユウキはその紙を触る時は必ず手袋をする様にと、マコトに渡します。 

 

その紙は“犯行予告”であり、政治家の事務所、マスコミ、警察等へ、自分達のメッセージを山ほど送ると言い、それをマコトに手伝う様に告げたユウキでした。 

ユウキが言った通り、“犯行予告”の紙はマスコミや省庁等へ送られるも、タチの悪いイタズラと見られ相手にされませんでした。 

 

ある日の夜中、ユウキとマコトは警備が手薄なビルの屋上に向かいます。またそのビルは人の出入りが多いものの、屋上には人は来ない事をユウキは下調べしていました。 

けれども、あと3時間程で夜が明け、その2時間ぐらいで人手も多くなる故に、その前にマンションを倒したいとユウキは言います。できるかと聞くと、“うん、出来るよ”とマコトが答えたのでした。 

 

“正義でもない、誰のものでもない、僕らの革命を”と思いつつ、マコトは右手をかざし続けます。 

辺りが明るくなった頃、マコトの足元には、幾つもの溶かし落としたマンションの“破片”がありました。 

マコトはふらつき思わず跪き、ユウキはまだ時間があるから少し休もうと告げます。しかしマコトは再び立ち上がり、“最後の仕上げ”にかかります…。 

 

ユウキ達が“犯行予告”を送るも周囲が相手にしなかった様に、大変な事態となった出来事も初めはあまり気にしない事が多いのかもしれません。そして、“これヤバいかも…”とじわじわと気付いた時には爆発的にとんでもない事になっているのかなと思えました。 

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