平安時代。秀才と謳われた学生・菅原道真が、京でおこる奇妙な事件をその頭脳で解決していくサスペンスストーリー。とある屋敷の女官が突如失踪。道真が権少将・在原業平とともに解決に乗り出します。
漫画『応天の門』1巻には第1話から第5話が収録されています。
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目次
第一話 在原業平少将、門上に小鬼を見る事 一
深夜の平安京。艶男、在原業平(ありわらのなりひら)は、とある人妻の屋敷におりました。夫がいない隙を狙い、逢瀬を交わしていたのです。牛車に乗り自身の屋敷に帰る途中、業平は門の上に人影を見ます。そこで書を読んでいた人物は検非違使(けびいし*現代で言う警察のような機関)が向かってくることを業平に伝え、検非違使に合わないような道を教えて去っていくのでした。
夜が開け、大内裏では藤原親嗣(ふじわらのちかつぐ)の屋敷の女官が一人いなくなったと貴族達が噂をしていました。皆、鬼の仕業ではないかと騒いでいたのです。出仕した業平は幼い帝より「この恐ろしい事件をすぐ解決するように」と命じられます。一方、大内裏にある大学寮では、”菅三(かんさん)”と呼ばれる若い学生が師から書を借りておりました。
またその友人である紀長谷雄(きのはせお)も一緒です。長谷雄は菅三に相談があると持ち掛けます。しかしその時、検非違使達が、長谷雄を女官を拐った犯人として捕らえに来たのです。騒ぎを聞いて業平も駆けつけます。業平の遠縁にあたる長谷雄。業平は長谷雄が拐かしなどする人物ではないから釈放するよう検非違使達に命じますが、長谷雄が女性を巡る怪しい行動を起こしているからと、彼らは長谷雄を放しません。
喧しい騒ぎを止めるよう、口を開く菅三。業平は、昨夜門の上で会った人物だと気付きます。彼こそが、菅原家の三男、菅原道真だったのです。
第二話 在原業平少将、門上に小鬼を見る事 二
検非違使に捕われた長谷雄は自身の無罪を訴えますが、道真は取り合おうとしません。日頃から素行の悪い長谷雄に獄中で反省するようにと伝え、去っていくのでした。
帝より解決するよう命じられていた業平は、藤原親嗣の屋敷まで仔細を聞きに行きます。しかし、主人は物忌みで会えないと女官に門前払いをされてしまいます。在原業平が来たと知って、女官を責める親嗣。何も話すなと女官を脅します。またいなくなった女官”小藤(こふじ)”を探すよう即すのです。
門前払いをくらった業平は、川に上がった消えた女官らしき死体の検分に行きます。そこに博識な道真も連れていくことに。道真は死体が長谷雄が追いかけていた女ではないと証言。また、死体の細かな特徴を次々と上げていきます。髪から護摩の香りがすることから、屋敷の中で亡くなった遺体であると推測。
いなくなった女官は”使いにやっていたところでいなくなった”とのことなので、やはり長谷雄の仕業ではないと断言し、親嗣の屋敷内を探すよう助言をします。しかし、この事件は「鬼の仕業」として片付けたいという業平。今や帝に近い存在である藤原家に歯向かうことはできないと道真に言います。確固たる証拠があるにも関わらずそれを隠そうとする業平に、道真は嫌悪を抱くのです。
さて、疑いが少し晴れた長谷雄。監視付きではありますが、一旦、検非違使から帰されることになりました。迎えにいった業平と道真は長谷雄が何か知っていると察知し、彼に全て白状するよう迫ります。長谷雄が追いかけていたのは失踪した小藤。彼女を往来で見かけ声をかけると、「自分のことはもう忘れて欲しい」と言われたとのこと。
振られたと思った長谷雄は、小藤が入っていった店に入り双六で負けて大借金を負ってしまったというのです。小藤のことを話せば借金のことも家にバレる…臆病な長谷雄は言い出せないでいたのです。話を聞いて呆れる業平と道真でしたが、事件を片付けたい二人はその小藤に会うことにします。
長谷雄に案内されて着いたところは遊戯場。昭姫(しょうき)という女主人の店です。小藤に会いたい一行ですが、昭姫は、まず、長谷雄の借金を精算してほしいと言います。道真は自分が双六で勝ったら借金の支払いはなし、また、小藤の行方を教えて欲しいと賭けにでます。なぜ貴族の若者が小藤をこの件に関わるのかと問う昭姫。道真は理に敵わないことが嫌いだと、双六をするのです。
昭姫との双六三番勝負。道真は見事勝利。喜ぶ長谷雄に小藤の居所をおしえようとする昭姫。しかし、道真は、「鬼退治」も一緒に手伝ってほしいと頼むのでした。
第三話 在原業平少将、門上に小鬼を見る事 三
鬼退治を手伝ってほしいと頼む道真に困惑する昭姫。そこへ探していた小藤が現れ、ことの仔細をみんなに話すのです。
藤原親嗣は乱暴な主人。何かにつけては女官に折檻をしていたとのこと。小藤を庇った女官・松葉が彼女を逃し、小藤自身は辿り着いたこの店の世話になっていたというのです。逃してくれた松葉が気になり屋敷を見に行った時に、長谷雄と出会ったとのこと。ひどい話を聞いて怒る一同。貴族にはお咎めなしという世相に、道真は意を決し、一度自分の屋敷に帰ります。貪るように書を読み調べ物をします。翌朝、昭姫の元へ訪れた道真は、松脂や猪の血などの品を彼女に用意させます。藤原親嗣を懲らしめる作戦、開始です。
親嗣の屋敷では女官が一通の文を預かっておりました。業平からの恋文です。しかし中身は小藤からの伝令。親嗣を退治する作戦が記載されていたのですが、本人はそのことに気付きません。新月の夜、それは決行されます。親嗣の酒に煎じ薬を入れ寝入ったのを確認、送った道具を指示通りに使い、屋敷の人間を東の方へと集めて、女官達は牛車に乗って屋敷を出てきました。
目覚めた親嗣の両手のひらにはべっとりとした血が。そしてあたり一面にも血がまかれています。ついていた灯が一斉に消えていき驚く親嗣に、布をかぶった大きな人物が立ち塞がります。鬼が現れたと恐怖に慄く親嗣。門を開けると武装した業平と検非違使達が待ち構えていました。業平に「本当の鬼が出た」と訴える親嗣。
業平は親嗣の「本当の鬼」という言葉を聞き漏らさず、それでは今までの話が嘘のように聞こえる、ならば屋敷内を確認させてほしい、と伝えます。屋敷内のやましいことが発覚することを恐れた親嗣は、屋敷内の立ち入りを禁じ、中に閉じこもってしまいます。それでもまだ続く道真考案の鬼の仕掛け。この怪奇現象についには女官の亡霊の仕業と思いつめる親嗣の元へ、火急の用として左大臣・藤原良房(ふじわらのよしふさ)が現れます。良房に助けを求める親嗣でしたが、情けない姿の親嗣を冷たく突き放すのでした。
ひどい主人から解放された女官達。小藤はこのまま昭姫の元で暮らすことにします。”門より内は地獄”と、貴族の世界は自分には縁がなかったと語るのでした。帰り道、道真は業平に、鬼退治のトリックを明かしていきます。学生が思い切ったことをしたと思った業平。しかし、小藤の言う事も然り。門より内は地獄であるならば、この京の応天門の先は鬼の巣窟。文章生ならばこの先ここで出世を目指すのだろう、しかし、道真ならば良い政(まつりごと)をするであろうとほくそ笑む業平ですが、道真は書を読むこと以外に興味がないとぶっきらぼうに言い放ち、家へと帰って行くのでした。
第四話 都を賑わす玉虫姫の事 一
平安時代の文章生とは大変優秀なエリート学生。選ばれた20人の学生達のことです。そのうちの一人である道真。屋敷で過ごしていたところ、出仕から帰ってきた父に呼び出されてしまいます。父は道真が世をときめく文化人・業平と知り合いになったことを喜んでいたのです。そこへ、当の本人、業平が菅原家の屋敷にやってきました。道真に聞いてほしい話があるのです。
話とは、世を賑わす絶世の美女玉虫姫(たまむしひめ)のこと。学者であった森本の翁の孫姫で、美しい上に碁や双六なども得意とする才女。
業平も彼女のことが気になり恋文を送ってみたものの、その返事の意味がわからないでいたのです。道真が見てみると姫の文には馬嵬(ばかい)と書かれており、楊貴妃の美しさを文に取り入れた業平に対し、姫は楊貴妃が自害した土地の名を書いて、「あなたとは幸せになれない」という意味に仕立てられていたのです。意気消沈する業平ですが、道真は最新の漢詩を用いて返信をする姫の聡明さに驚きます。
しかし、女性のことにはめげない業平。漢詩が得意な道真に代筆を頼みますが、ここで事態が急変。検非違使から火急の報せが入るのです。道真も同行させられてしまいます。
道端で倒れていた男の死体。賊に襲われた様子もなく、頭を強く打って死んだようです。そこへ長谷雄が現れます。死んだ男の名は久通(ひさみち)。長谷雄の友人であり、先日も蹴鞠をしたり玉虫姫の話をしたとのこと。場所が玉虫姫の屋敷に近いことから、一行は姫の屋敷を訪ねることにします。
その森本家の屋敷では、盲いた森本の翁と女官達が玉虫姫宛の贈物を前に、姫のいく末について団欒しておりました。翁の願いは姫の幸せ。良い公達との縁談がくるよう、また、へんな虫が寄らないよう、女官達に頼むのです。そこへ、大納言・伴善男(とものよしお)が現れ、翁に玉虫姫を帝の元へ入内させるよう話をするのです。姫の幸せだけを考えていた翁は困惑するのでした。
伴善男が帰った後、翁を訪ねたのは道真。借りていた書を返しに来たのです。漢詩を読む玉虫姫について訪ねてみますが、姫だけではなく、お付きの女官・白梅(はくばい)も漢詩を読むとのこと。森本家の屋敷の前で牛車に乗って待っていた業平と長谷雄は、戻ってきた道真から玉虫姫の話を聞きたくてたまらない様子です。そんな二人にうんざりしてきた道真ですが、玉虫姫入内の話が持ち上がっていることから、先日亡くなった久通との関係も調べなければならない状況となっているので、業平としては仕事として事件を解明しなければならないのです。
難攻不落の美女が帝に入内すると噂が広まった内裏。幼い帝も玉虫姫に興味津々。大納言・伴善男に歌会を催させ、玉虫姫も招待するよう命じます。左大臣・藤原良房の心中は穏やかではありません。姪の高子を入内させようとしていたからです。一方で、姫入内にうろたえているのは、玉虫姫お付きの五人の女官達。姫にはなにやら秘密があるようです。
第四話 都を賑わす玉虫姫の事 二
内裏で玉虫姫と会ったことのあるという男達に聞き込みをする業平。しかし、誰もが姿や御簾越しの姿だけで、顔を見ていないのです。また容姿の例えも皆違うのです。何かおかしいと思う業平に伴善男が話しかけます。玉虫姫に通っていた男がいては帝に入内させることができないため、死んだ久通のことは自宅で死んだことにせよ、と言い放ちます。
菅原家にて道真、長谷雄と話し合う業平。道真は姫が書いたとする文の筆跡が、女官・白梅のものであると断言。多才な美女と呼ばれる姫が他人に代筆させていたと気付き、謎は深まるばかりです。道真自らがまた森本家にいくことにします。
道真、業平、長谷雄がやってきたことで慌てる森本家の女官達。女官長の雪代はいつも通りにするよう指示します。御簾越しに謁見ができた道真。漢詩について姫に話しかけますが、風邪をひいているとのことで、お付きの女官が取り次ぎをします。次に琴の話をしたところで、下がろうとする女官ですが、すかさず道真は立ち上がり御簾をあげます。そこにいたのは漢詩が得意な女官・白梅。玉虫姫など存在しなかったのです。女官達が入れ替わり立ち替わりで姫になりすましていたのです。
8年前、鞠で遊んでいた姫と女官達。遠くに放られた鞠を追い、幼い姫は誤って井戸に落ちて亡くなってしまいました。悲劇の事故ではありましたが、目も耳も悪くなった翁に孫娘が亡くなってしまったことを言うことができず、翁が生きている間は姫が健やかに育っているよう振る舞っていたのでした。久通は姫を一目見ようと御簾を強引に上げてしまい、揉み合いの事故で死んでしまったとのこと。仔細がわかった業平は、帝に姫の入内を諦めてもらうよう画策します。
帝に謁見した業平。業平が帝に見せたものは、何通もの恋文。玉虫姫と久通のものです。二人は愛し合っており、姫の帝への入内が決まってしまった為、久通は世を儚んで自害してしまったと話すのです。久通の死を知って自らも死を選ぶ姫を側付きの女官が止めたものの、痩せこけて美しさが損なわれてしまったとも伝えるのです。玉虫姫を推していた伴善男は慌てますが、帝は業平の話に納得、涙を流して姫のことを諦め、二人を、また、両家を咎めることをしないよう皆に伝えるのでした。
森本家では翁が臨終の時にいました。姫の身を案じながら、永遠の眠りにつくのでした。雪代は尼寺へ行き、翁と姫を弔って生きていくことにします。事件を解決した道真と業平は、菅原家で翁と玉虫姫について語っておりました。そこには漢詩が得意な女官・白梅もおります。書に詳しい白梅を道真が菅原家にと雇ったのです。白梅を口説こうとする業平ですが、白梅に「(業平と)口をきいてはいけません」ときつく言う道真なのでした。
漫画『応天の門』 1巻 まとめ
秀才、菅原道真がその頭脳と知恵を活かして怪奇事件を解決していく平安時代を舞台としたサスペンスストーリーです。
一緒に事件を解決していく在原業平との出会いが描かれています。女性好きな業平とそれに呆れながらも付き合っていく道真。華麗なる平安貴族達の生活も垣間見える1巻です。