在原業平、紀長谷雄とともに京で起こる奇怪な事件を解決していくエリート学生・菅原道真。今回起こる事件は藤原良房の姪である高子姫が依頼人。以前は業平と恋仲にあったという女性です。そして、道真の亡くなった兄に関する謎も浮上します。
漫画『応天の門』2巻には第6話から第10話と番外編が収録されています。
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漫画『応天の門』1巻ネタバレや感想など｜女好き業平と陰キャ菅原の平安サスペンス！
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目次
第六話 怨霊出ずる書の事
大学寮を訪れていた道真。師である橘広見(たちばなのひろみ)に呼ばれて来たのです。
広見と会った道真ですが、そこへ広見の弟子が来て写本を命じられた本から怨霊が出ると慌てふためくのです。
その本とは広見の友人が唐から持ってきたもの。本人が船旅で命を落としてしまったため、本にその無念が宿っていても不思議ではないという広見。
しかし、霊など信じない道真は、ならば自分が写本をすると言ってその本を持ち帰ります。夜、屋敷で写本をする道真。すると、水を求める声が聞こえてきます。そして、道真の幼名「阿子(あこ)」と呼ぶ声もします。振り返ると人影が…！そこで道真は目を覚まします。夢だったのかどうかわからないままですが、発汗と手の震えがありました。
道真は白梅に、二冊のある本を探すこと、そして長谷雄を呼ぶことを命じます。
呼ばれた長谷雄は道真と共に昭姫の元へ香を買いに行きます。道真は怨霊が出るという本を昭姫に見せ、この本についている香を確認して欲しいと頼むのです。昭姫は本をひと舐めし、この香に近い香を用意。実験台になったのは長谷雄。昭姫が用意した香を焚くと天女が現れると説き、彼に試してみるのです。
すると、道真の思う通り、長谷雄は香の作用による幻覚を見ます。本の怨霊というのもこれと同じことで、本に焚かれた香が、灯りの火により熱されて溶けだし、それを吸って幻覚を見ていたというものだったのです。怨霊が現れると聞いていたため、みんな怨霊の幻覚を見てしまったのです。
謎を解き明かした道真は広見の元へ。広見は友人のことを無念に思うあまり、自分の未練が出てしまったと悟ります。写本したものを預けて帰ろうとする道真に礼を言う広見。しかし、道真はこの一件で、自分の夢に出てきた兄のことを思うようになります。
第七話 藤原高子屋敷に怪の現れたる事 一
早馬に乗って駆けていく業平と幼い高子。逃げるかのように走っていきます。「どこへでも連れて行って」と業平に寄り添う高子ですが、ここで夢から覚めます。業平と駆け落ちをした幼い頃の夢を見たのです。
目が覚めた高子は、庭が騒めいていることに気付き、女官の山路(やまじ)を呼びます。山路によると、女官の筑紫(つくし)が物の怪に襲われたとのこと。四つ足の獣だったというのです。
翌朝、高子の元へ叔父の良房と兄の基経(もとつね)がやって来ました。帝の元へ入内する高子の身を案じ、屋敷の警備を検非違使に頼むことや、祈祷師を呼ぶなどしようとします。高子は二人の出世のコマになっていることに歯痒く思っておりました。また基経からは業平との関係も改められてしまいます。
否定する高子ですが、基経に恐怖を抱いている彼女は不安が止まりません。また、別の二人の兄も屋敷の警護としてやって来ます。この二人の兄こそ、昔駆け落ちをした業平と高子を引き裂いた当事者なのでした。帝の子を産むために屋敷に閉じ込められ、また監視をつけられたことに屈辱を感じた高子は業平に文を出します。
内裏では基経が業平に検非違使を高子の屋敷へ派遣するよう命じます。しかし、過去に高子と関係を持った業平には蟄居を言い渡すのです。内裏を出た業平の手には高子からの文が届きました。業平はその文を持って、菅原の屋敷へと向かうのでした。
道真に頼み事があった業平ですが、あっさりと断られてしまいます。もうすぐ徳業生の試験があるため、勉強しなくてはなりません。道真に断られた業平は、ならば、と、白梅に白羽の矢を立てるのでした。
一方、警備で来た二人の兄に嫌気がさしていた高子。兄達は高子の退屈しのぎに漢詩のできる人材を探します。そこで現れたのが白梅です。高子姫が気に入りそうな漢詩をいくつか持ってやってきました。業平とは外の情報を教えてくれる仲に過ぎないことを語る高子。寂しそうな高子に情が絆され、白梅はしばらく高子に仕えることになりました。
高子の屋敷内部の状況が知りたい業平は、戻ってきた白梅から話を聞きます。謹慎中の身ではありますが、女性が困っているのを放っとけないのだそう。白梅も監視されている高子が可哀想だと道真に訴えますが、男が入れない状況に何もできないと突っぱねられるのでした。
事件を解決できないことを高子に詫びる白梅。道真を呼ぶことができれば…との一言に高子は一計を案じます。叔父からもらった高麗の壺を叩き割るのです。そして微笑んで白梅に「迷惑をかける」と言うのでした。
第八話 藤原高子屋敷に怪の現れたる事 二
白梅が屋敷にあった高価な壺を割ったとして謝りにきた道真。本当は高子がわざと割ったのですが、それを建前に道真を屋敷に呼ぶことに成功した高子は問題を解決してもらおうと、道真に事の経緯を話します。
物の怪の話を怖がる事なく話す高子。高子が持っているとても魅力的な本を借りるためにも、道真は事件解明に挑みます。しかし、この話を盗み聞きしていた筑紫。真実を告白することにします。全ては逢瀬を重ねていた筑紫の嘘。深夜通う男が屋敷内の灯籠を倒してしまい、その音に気付いた見回りのものが男を物の怪と見間違え、筑紫もその通り証言してしまったのでした。
屋敷に閉じ込められている高子の手前、自分だけ好きな男と会っていることに引目を感じ、正直に言うことができなかったのです。涙ながらに白状する筑紫を哀れに思う高子ですが、問題が解決し用事がなくなった道真は帰ろうとします。そんな道真を更に帝からもらったという高価な墨で釣る高子。この事件を物の怪の仕業に仕立て上げ、かつ、警備を解くよう、道真は試みます。
屋敷内に響く女官の声。筑紫がまた倒れてしまったというのです。そこへ現れたのが道真。筑紫を襲ったのは中国古来の物の怪であり、筑紫の息があるうちに退散の儀をすれば良いと警備の者達に説いていきます。そこへ、帰ってきた高子の兄二人。屋敷の異変に気付きます。男達は皆、腹に顔を描き目隠しをして焚火の周りを大笑いしながら踊り回っていたのです。陽の気で物の怪を退散するという嘘の儀式に兄二人達もまんまと引っかかるのです。その愚かしい様に高子も大笑いです。
朝。夜通し踊った兄達は疲れ果ててしまいました。これで物の怪が退散したと思い込み、後を道真に任せて自分達の屋敷へと帰っていくのでした。事が済んだことに礼を言う高子。道真は事件解決の礼として墨を貰い帰っていくのでした。屋敷に帰った道真は、墨のかけらを業平に渡します。高子の指示です。そして、高子が笑っていたことを業平に伝えてあげるのでした。
早速手に入れた墨を硯で溶いていく道真ですが、高子から「兄はいますか？」との問いに「いません」と答えたことが、少し気になっていたのでした。
第九話 鏡売るものぐるいの事 一
高子の屋敷を出た兄二人。基経は二人が高子に追い出されたと察知します。その場にいた菅原道真の名も聞きます。基経は、島田忠臣(しまだのただおみ)を呼び出し、弟弟子である道真のことを聞き出します。
所変わって菅原家では、道真が父・是善と鷹の世話をしていました。そこへ遊びに来た業平は、二人を鷹狩に誘います。しかし、是善は狩りはいけないと猛烈に断ります。その勢いに圧倒される道真と業平ですが、是善は落ち着きを取り戻し、何事もなかったかのように振る舞うのでした。
道真は鷹を見ると兄のことを思い出します。鷹の世話をしていた兄の真似をしたくて駄々をこねた幼い頃の思い出です。ある時、兄が病気になったと聞き、幼い道真は餅を持って兄の床へと向かいます。しかし、兄から物を投げつけられ大怪我をしてしまい、大声で「出て行け」と烈火の如く怒りをかってしまったのです。
幼い頃の夢まで見てしまった道真の額には今でもその傷痕がありました。気を取り直して大学寮に行くことにします。
大学寮では変な男とすれ違います。少ししか当たってないのに大げさに痛がるのです。男は道真に詫びると去って行きました。次に長谷雄と遭遇。長谷雄は唐物の鏡を手に入れたと道真に自慢します。加持丸(かじまる)という男から布一反で手に入れたとのこと。その加持丸とは先程道真がすれ違った男でした。また、その鏡について調べたくなった道真は長谷雄を連れて出掛けていきます。
着いたところは昭姫の店。唐人である昭姫にこの鏡を鑑定してもらうと、それは唐の時代のものではなく、もっと古い晋の時代の物であることが判明。刻まれている文字が唐のものではないからです。大変高価で貴重な物であることから、墓荒らしの盗品ではないかと疑う昭姫と道真。長谷雄はとても怖くなってしまいました。
翌日、大学寮では狂った加持丸が書庫に籠もってしまったと騒ぎになっていました。急に泡を吹いて転げ回り叫び出したというのです。怨霊、祟りと怖がる長谷雄ですが、道真はある考えを抱くのでした。
第十話 鏡売るものぐるいの事 二
騒ぎを聞いて駆けつけた業平。内裏で何かあってはいけないと、扉を破って加持丸を書庫から出そうとします。しかし、書庫には貴重な本が保管されていることと、加持丸に用がある道真は、検非違使達を引かせ、自分が小窓から中に入り様子を見てくると申し出ます。業平は致し方なく道真の言う通りにします。
小窓から書庫の中に入ることができた道真は、加持丸に例の鏡を見せます。しかし、その鏡に怯える加持丸。その異様さに驚く道真です。
持ってきた水をやるも飲み込めず痙攣を起こしてしまいます。道真が気付いた加持丸の症状とは狂犬(たぶれいぬ)。狂犬に噛まれた際に発する病気なのです。狂って襲い掛かる加持丸を何とか交わし扉を開けた道真。事切れた加持丸でしたが、内裏で死人が出たとは言えない業平はすぐさま「気絶」ということにして、事件の始末をするのでした。
道真の活躍を褒める業平ですが、狂犬を目の当たりにした道真は兄のことを思い出します。流行病で死んだ兄の死を不審に思い、すぐさま屋敷に帰り兄の遺品を直している蔵の鍵を開けます。道真が蔵を開けたと聞き急いで道真の元へ駆け寄る父・是善でしたが、道真の言葉が矢のように突き刺さります。「兄は殺された」と。
番外編 白梅のお仕事
菅原家に仕えることになった白梅。彼女のお仕事は本の整理。勝手に片付けると怒られるというので、漢詩が得意な白梅が片付けて行きます。
女官達はおばけが出ると言って嫌がります。しかし、本の山に埋れて出てくるのは道真と是善の二人。おばけの正体は彼らだったのです。結局、三人で本を読んでしまい、まったく片付かないのでした。
漫画『応天の門』 2巻 まとめ
道真がまたもや難事件に挑みます。今回は謎の死を遂げた彼の兄の存在も気になるところ。
また、わずか11歳で業平と駆け落ちをしたという高子の屋敷での事件に、良房を筆頭とする藤原家も絡まり、物語が動き出す展開になっています。
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