「とんがり帽子のアトリエ」は、白浜鴎先生によるによるファンタジー作品で、2016年から「月刊モーニングtwo」（講談社）にて連載されています。
主人公の少女ココが暮らす世界には魔法が存在し、魔法は魔法使いのみが使うことを許される特別なものでした。魔法に憧れる少女ココは偶然出会ったキーフリーという魔法使いが魔法を描く所を盗み見てしまい、魔法の秘密を知ってしまいます。
ココは何も知らず「禁止魔法」と呼ばれる禁忌の魔法を使い母親を石に変えてしまいます。ココは母親を助けるため、魔法使いの弟子として新たな一歩を踏み出していきます。
「とんがり帽子のアトリエ」は第1話から第5話までが収録されています。
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目次
第1話 魔法使いの弟子
主人公の少女ココはとある村に住む、魔法に憧れる平凡な少女でした。いつもと変わらない日々の中で、ココの村に羽根馬車に乗った女性達と不思議な外套を羽織った青年がやってきます。彼らの目当てはココの母親が営む布屋でした。
女性達の対応に追われる母親に変わり、ココは青年のために布を用意していきます。手際の良いココの手腕を青年は「まるで魔法だ」と褒めますが、ココは魔法はもっと尊いものだと魔法に対しての熱意をあつく語りました。
ココがこんなにも魔法が好きなのは理由がありました。ココは幼い頃、母親に連れられていったお城のお祭りで仮面をつけた魔法使いから魔法の絵本と杖を貰っていたのです。結局ココは魔法を使えなかったのですが、それ以来魔法があきらめきれていなかったのです。青年はココの話に興味を持ちますが、その時外から大きな音がしました。
音の原因は村の子供達が羽根馬車に悪戯をして壊してしまったのです。青年は自分が羽根馬車を直すことを提案します。彼はキーフリーという魔法使いだったのです。
キーフリーは羽根馬車に魔法をかけ直すために、ココに一つ頼みごとをします。それは魔法をかけている間誰も中を覗かないよう見張っていて欲しいというものでした。最初は言いつけを守るものの、ココはどうしても魔法を見たい気持ちに負け、キーフリーが魔法を使う所を盗み見てしまいます。ココが目にしたのは「魔法を描く」キーフリーの姿でした。
ココは罪悪感からキーフリーと言葉少なくわかれますが、その夜昔貰った絵本と杖を取り出します。ペンの杖が描くためのもので、絵本の図面が魔法陣だと気づいたココはひとりで魔法を描き、成功させてしまいます。
魔法陣を上手に描くことが魔法を成功させる秘訣だと気づいたココは、絵本に紙を載せ魔法陣をなぞります。魔法陣が解決した時、ココは何時の間に部屋の中にいたキーフリーに外へと連れ出されました。
ココは何も知らずに石化の魔法を使い、目の前で母親を石に変えてしまいました。本来魔法の秘密を知られた場合、記憶を消さなければいけないのですがキーフリーはココの貰った絵本が自分の探す存在の手がかりであることを察し、ココの記憶をとどめることにします。
ココは記憶を消すことなく母親を救うために、キーフリーから「魔法使いになる」選択を迫られます。
第2話 アトリエへ
ココはキーフリーに連れられ郊外のアトリエへとやってきます。アトリエにはココと同い年程の少女テティアとリチェが迎えてくれました。ココが自己紹介をすると、二人の態度が急変します。既に魔法使いの間では禁止魔法を使った「知らざる者」が記憶を消されずに弟子になったと広まっていたのです。
怯えるココにキーフリーは魔法使いの存在について教えます。魔法はかつてもっと身近なもので、特殊な墨と決まった図形の魔法陣があればだれでも描いて使う事ができたのです。しかし、それ故に多くの争いが起き、おぞましい魔法がいくつも生まれてしまいました。だからこそ良識ある人々が魔法使いとして結託し、秘密を守れる弟子にだけ魔法を伝授することにしたのです。だからこそ、一般の人達には「魔法は特別な人間にしか使えない力」と真実を隠されてきたのです。
知らない魔法を恐れたココはもう一つ、禁止魔法についてキーフリーに質問します。禁止魔法は人の身体そのものにかける魔法で、記憶を消す魔法のみは例外であることを教えます。
キーフリーは扉窓を使い、ココに図書の塔と呼ばれる魔法に関する書物が全て集められた場所を教えます。すぐに絵本を探しに行こうとするココですが、塔に入るための試験に合格していないココは塔に近づくことすら許されませんでした。落ち込むココに、キーフリーは魔法を恐れず、優しい魔法を知ってほしいと話します。
部屋を案内されたココはルームメイトになるアガットいう少女に出会います。彼女は知らざる者として弟子入りしたココに冷たくあたります。本来魔法使いに弟子入りするには試験を受ける必要があることをココに教え、アガットはココも一人で試験を受けるよう要求します。
第3話 アガットの要求
キーフリーの元で魔法について学び始めたココですが、今まで全く魔法について知らなかったココは基礎を覚えるだけで精一杯です。そんなココにキーフリーは丁寧に良い所と悪い所を教えていきます。ルームメイトのアガットがココに魔法を教えるのを見たキーフリーは、アガットにココを任せ大講堂と呼ばれる場所に一人赴きます。
キーフリーが去ったのを見計らいココを試験へと連れ出します。アガットはココに試験の内容を話します。最初の試験は3つの魔法器と魔材だけを持ち、一人でダダ山脈の頂上に群生する王冠草を取ってくるというものでした。ココは試験に浮き水滴と魔針球、そしてアガットのとび靴を借りて試験へと挑みます。
魔針球の針に従い進むココの前に、球体に浮くダダ山脈が姿を現しました。
第4話 最初の試験
ココは宙に浮くダダ山脈の山頂から王冠草を取らなければいけないことを知り、アガットから借りた浮き靴で空を飛び始めます。しかし慣れない浮き靴と突然現れたフデムシという生き物に驚き、ダダ山脈の下にある湖へと落下してしまいます。水に落ちたことで浮き靴の魔法陣は薄れ、魔墨も袋の中で零れてしまっていました。
ココの姿がアトリエに無いことに気づいたテティアは、ココが一人でダダ山脈に試験を受けにいった事をしり心配します。そんなテティアにアガットは「こんな簡単な試験に受からない、一緒に居て得る者のない知らざる者には魔法使いの世界に入ってきて欲しくない」と告げます。
一方特別な才能を持った人にしか魔法を描くことは出来ないのかと悩むココは、キーフリーの言葉を思い出します。ココは彩色石を作りだし、布屋で自分が得意としていた布に模様を描く方法で空を飛ぶ布を作り出します。無事飛ぶことに成功したココは自分の魔法でダダ山脈の山頂から王冠草を取ることに成功します。
大講堂から戻ったキーフリーはココが一人でダダ山脈に向かった事をしり、急いで助けに向かおうとします。ところが扉の前には王冠草を持ったココの姿がありました。試験の照明としてココはアガットに王冠草を見せますが、アガットは何も言わずその場を去ってしまいます。
キーフリーはココに二度とこんな危険なことはしないよう話し、弟子の証明であるとんがり帽子と制服を手渡しました。
第5話 仮面の魔法使い
魔法の訓練に励むココですが、中々思うような魔法陣が描けません。そんなココのためにキーフリーは魔材屋で自分にあった杖を選ぶことを提案します。
キーフリーに連れられココ達は泥森の街カルンという魔法使いの街へとやってきます。アガットはココ達と別行動をとり、ココ達は魔材屋「星の剣」へと向かいます。そこはそこで店主のノルノアに出会います。ノルノアはココに黒く染まった枝から樹血を煮出し、魔墨の原液を作る方法を見せます。
杖を探しにきたというココにノルノアは試し書き用として小さな魔墨入れを渡してくれました。杖を選ぼうとするココは店の窓に幼い頃ココに絵本を渡して来た仮面の魔法使いがいることに気付きます。
ココは仮面の魔法使いを追いかけ、テティアとリチェ、そして途中から合流したアガットの3人はココを追いかけます。しかし路地裏でココは男の姿を見失ってしまいました。
ココ達は先ほどまでと全く違う街の風景に囲まれていることに気付きます。テティアは空から状況を確認しようとしますが慌ててココ達の元へと戻ってきます。ココ達の前に現れたのは、巨大なドラゴンでした。
ココ達が居ないことに気付いたキーフリーは、彼女たちが仮面をつけた魔法使いをおいかけて何処かへ行ったことを知り愕然とします。
「とんがり帽子のアトリエ」1巻感想
「とんがり帽子のアトリエ」はどのコマを切り取ってもとても美しく絵本や画集を読んでいるような気持にさせてくれる物語です。主人公ココの暮らす世界の魔法の在り方や、魔法使いの歴史、そして禁止魔法と呼ばれる存在。ファンタジー小説を読んでいるような重厚感のある世界がページをめくるたびに現れ、一気に読んでしまいます。
1巻では普通の知らざる者であったココが魔法使いに弟子入りし、魔法を学び始めるまでが描かれています。しかし最後の話ではかつてココに禁止魔法が載った絵本を手渡した謎の魔法使いによってココ達はドラゴンのいる謎の空間に連れ去られてしまいます。
絶対絶命のココ達はどう危機を乗り越えるのか、目が離せない展開になっています。
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