漫画『アンゴルモア元寇合戦記』7巻ネタバレや感想など｜「義経流」を使う蒙古軍兵士…

たかぎ七彦先生による鎌倉時代中期に起きたモンゴル帝国・属国の高麗による対馬侵攻の戦いを描いた『アンゴルモア元寇合戦記』。

第7巻は、迅三郎達の同志と信じていた白石が、内通していた蒙古軍を金田城内へ侵入させてしまい、長嶺は城内ごと火で焼き払う行動に出ます。張本人である白石は迅三郎と遭遇し…。

第二五話

ウリヤンエディは遠くから金田城内から出た火を見て、蒙古軍百人長オルチバトによる火攻めだと判断し、それに乗じて一気に片付ける様に部下達に命令します。

そしてフンブシら率いる一軍は、火が燃え広がっている金田城主郭（ビングシ山）までやって来て、近くから悲鳴が相次いで聞こえて来ました。梯子を用意し城壁を登ろうとした時、上の方から人影が見えました。

しかしやって来た者達は、火で燃えた状態で次々とのフンブシ達へ落ちてきました。燃えている彼等が、味方の蒙古軍兵士だと気付き、慌てて布で火を消します。

火により重傷を負った一人がフンブシ達に向かって、“き…気をつけ…ろ、火の呪い…だ…”と言い、その場で倒れます。フンブシの部下が倒れた男の鎧を見て、彼がオルチバトだと分かります。

部下はフンブシに、火傷を負った者を運ばねばならず、兵士達も動揺しているうえ、ここは“火の神”に呪われているから、一旦引き下がるべきではと促します。

その矢先に輝日率いる軍勢が現れ、一斉に矢を放って来て、フンブシらの部隊はその場を引かざるを得ませんでした。一方の輝日は、長嶺の敵を丸ごと焼き払う戦法を恐れつつ、城内の民を守る決心を更に強めます。

その頃南門にいた迅三郎は、“焼畑”を見た蒙古軍が怒り狂い更に攻めて来るのではと考えます。そこで“いっそこっちから仕掛けるか”と長嶺達の前で言います。同じ頃、ウリヤンエディのもとへ、退散したフンブシらの部隊が帰って来ます。

ウリヤンエディは、大火傷でこの時既に死んでいたオルチバトを見て動揺します。彼の部下カウランもこの場は引き下がるべきではと口にするも、それを拒否したウリヤンエディは“総攻撃だ！四方から一恖に押し潰す!!”と告げます。

その直後、城門が開き迅三郎達率いる軍がやって来たという知らせが入ります…。

敵を追い払う為に、火で燃やし切る等、“命懸け”をリアルにすると恐ろしい事になるなと思いました。迅三郎の戦いの際に時折浮かべる不敵な笑みは、恐怖すら感じます。

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第二六話

攻撃を仕掛けた迅三郎ら軍勢に対し、蒙古軍も容赦なく矢を次々と放ちます。しかし直ぐに“矢の雨”は止み、蒙古軍は何故かその場を退いて行きます。その事を聞きつけてやって来た輝日は、蒙古軍の様子を見て“どうか、このまま”と淡い期待を抱くのでした。

一方、長嶺のもとへ部下が名乗り出て、数人の者が西壁を無断で離れた事で、蒙古軍の侵入をゆるしてしまい、厳罰に処するべきだと告げます。すると西側にいた数人の兵士達が、白石が南門へ加勢する様に言って来たうえ、彼は蒙古軍が来たら合図すると言ったとの事です。

白石の妙な行動を見て“まるで蒙古と通じていたかの如し”と捉えます。そんな長嶺の言葉を否定する迅三郎に対し、鬼武丸が現地へ行き確かてみたらどうかと言い、迅三郎は西壁へ行ってみる事にしました。

迅三郎が金田城の西壁へ向かうと、兵士の遺体があり、その近くに白石が座り込んでいました。彼の目を見て、迅三郎が思わず“…まるで生ける屍だな”と口にし、蒙古が退いて言った事を白石に伝えます。

同時に迅三郎は“おぬしはついて行かなくて良いのか？”と尋ねると、“おぬしを待っていたのだ、朽井迅三郎”と答えた白石が刀を持ち迅三郎の前で構えます…。

武士の定めというものが、描かれていた回だった様に感じられます。白石の様に、真面目で穏やかな生活を求める者程、不幸な目に遭う事は、案外いつの時代も変わらないのかも知れませんね。

第二七話

焼け上がる金田城の山を遠くから見て、“お山が我らをお守りくだされた！”“勝った！お山が蒙古を退けた”と一同は喜び、長嶺も「戦が終われば御先祖をお祀りし、死者を弔う」と告げます。

鬼武丸と共に、白石が残していた猪肉を焼いて食べながら、張明福は一人、何故蒙古に誘ってくれなかったのかと胸中で呟いていました。また張明福は、他に蒙古と繋がっている者はいないか周囲を見渡していたのでした。

その頃、迅三郎は一人、森の奥で寝そべりながら、度々吹く風に耳を傾けていました。そして、二十数年前の鞍馬山での幼い日々を思い出していました。幼少期のある日、迅三郎は“師匠”の男から、スズメバチを相手に巣ごと戦う様に言われました。

スズメバチに刺され迅三郎の顔は腫れ上がり、倒れてしまいます。迅三郎は剣術を徹底的に教え込む「修験道」の場である鞍馬山に幼くして預けられていました。滝に打たれ、飢えを凌ぐ様な過酷な修行のなかで、やがて迅三郎自身も“俺の居場所は…俺の足元だけ…”と思う様になります。

一年の月日が流れ、再びスズメバチと戦う「蜂吹ノ行」の時が来ました。

そしてまた、迅三郎は刺され倒れます。小屋で横になる迅三郎を見て“師匠”は冷たく“運が良い、次は死ぬだろう”と告げます。それに対し迅三郎は痛みに苦しみつつ、“蜂共は…偉いな…”と答えます。

そしてスズメバチが、自分の巣を守る為に、次々襲いかかって来るが故に強いと迅三郎は言います。すると“師匠”は、“一所懸命だ、虫螻共から教わるのだ、どうやって勝つか”と言い、その場を後にします。またその一年後、「蜂吹ノ行」三度目の時がやって来ました…。

ここでの“剣の道”が、カッコいいものではない事が伝わってきました。ましてスズメバチと戦わせるなど、可能性がある反面、直ぐに挫折してしまいそうですね…？

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第二八話

城内の籾倉が燃え出し、周りは慌てますが、迅三郎は怪しい（火を付けた）者がいないか調べた方がいいと言います。そして山頂で人影を見つけた後、迅三郎は仮面で顔を覆った蒙古軍兵士に遭遇し、突然剣で襲いかかいます。

迅三郎が剣で応戦し、互いに中央の木を斬り落とすと、兵士は仮面のゴーグルを上げ素顔を見せます。それよりも、迅三郎はその蒙古軍兵士の剣術が「義経術」である事に驚きました。

以降も、凄まじい剣による対決の末、迅三郎の剣が兵士の仮面を斬り裂き、完全に素顔をさらします。兵士は迅三郎に名前を聞き、“私八、両蔵ダ”と言います。迅三郎も自分の名前を告げると、“ジンサブロウ、今日八引キ分ケトシヨウ”と言い、その場を走り去ります。

迅三郎は直ぐに彼を追いかけ、何故「義経術」を取得しているか尋ねると、“父八、倭人ダ”と答えます…。

「義経流」を使う蒙古軍兵士に遭遇する場面を見ると、“絶対”という事がないと思います。それだけ、これからの展開も先が分からないという事でしょうか。

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