『マネーの拳』第4巻は、花岡は渋谷に自身の直営店を開店する事になった矢先、一ツ橋商事の井川が近くにカジュアルブランドの店を、それも花岡の店より1ヶ月早く開店する事となりました。
更に追い打ちをかける様に、マスコミへのPR等で力を貸すと花岡に言っていた電広堂の中谷からも今後は協力できないと告げられます…。
漫画『マネーの拳』4巻にはRound27～Round35までが収録されています。
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漫画『マネーの拳』3巻ネタバレや感想など｜Tシャツを〇〇屋のように…
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目次
Round.27 井川リターンズ
渋谷にあるアイスクリーム屋の店舗が来年の1月に空くと不動産屋から言われ、花岡はその場所に決めると言います。街頭で花岡達が話している姿を、タクシーに乗って仕事へ向かっていた井川が目撃します。
その後、井川は会社の会議にて、イタリアンカジュアルブランドの買収を完了し、店舗を渋谷に決定した事を報告します。
会議後、井川は秘書に花岡について何か分かったか聞くと、花岡がTシャツ専門店、それもT-BOXという自社ブランドで直営店を出す事を秘書が報告します。それを聞いた井川は、随分思い切った事をしたと言い、秘書も“社運を賭けた大勝負”ではないかとも告げます。
その夜、花岡は佐伯や日高達と共に、商品の販売方法について話し合っていました。花岡はお菓子のおまけについている様な“食玩（フィギュア等）”を取り上げて、ビジネスに生かせないかと言います。
つまりシリーズ物かと佐伯が聞くと、そうだと花岡は答え、親しみを感じるものをプリントして、短いサイクルで次々に店頭に売り出し、売り切ったらそれ以上の追加生産はしないと言います。
その後、花岡は電広堂の中谷に会い、店舗設計の為にデザイナーを紹介してくれた事の礼を言いました。
中谷は、井川がイタリアのカジュアルブランドの買収全国展開チーフに抜擢されたうえ、来年春に渋谷にて直営店をオープンさせる事を、花岡に話します。そして中谷は、井川は商売抜きで動く故に、注意した方がいいと花岡に忠告します。
井川の方はというと、会議では新店舗への熱意が高まっているかの様でした。また秘書に対して、花岡の動きを常にとらえる様に言います。
そんな彼女に秘書は、私情とビジネスを混同しない方がいい、感情的になると判断を誤るのではと口を挟みます。すると井川は、“ビジネスなんてバリバリ私情…個人的感情でやるものよ。私情感情でやるからワクワクするのよ。燃えるのよ。”と言い、秘書を動揺させます。
そして、花岡に伝えた中谷の忠告が的中するかの如く、井川の口からは“あの…ムカつくヤロー、ぶっ潰してやる…ってね。”という言葉も出ていたのでした…。
花岡は、井川という最もタチの悪くめんどくさい競争相手に遭遇してしまったのかなと思い、彼自身も先が思いやられるなと思ったのかなと感じられます。井川の様に、人を陥れる事に快感を得ている者とは関わりたくないですね。
Round.28 象vsアリ
井川が渋谷にカジュアルブランドの大型店を立ち上げる事を聞いた花岡は、“売られたケンカ買ってやろうじゃねえか。井川と…一ツ橋商事と戦う。戦争だ！”と告げます。
それを聞いた大林は資本力や組織力等、どれを取っても自分達が不利で、言うなれば“アリと象の戦い”だと考えます。日高も対抗策を用意した方がいいと言ったのに対し、そんなものはいらない、計画どおり開店準備を進めると花岡は答えます。
不安を抱く大林や日高達に対し、花岡は“世界チャンピオンになった俺を信じろ。勝負は焦って自分を見失ったら負け。”と告げます。
渋谷の一等地に井川の店の開店準備が着々と進められており、その様子を花岡や大林達が見に来ていました。
井川の店が2月3日開店と、花岡の店より一ヶ月早く、この差は大きいと花岡は言います。ちょうど準備中の店の入口から井川と秘書が出て来ますが、井川は敢えて花岡を見向きもせずその場を後にします。
花岡は“スタートで完全に出遅れた。”と思い、どうやって追い上げればいいかと考え始めます。
花岡は中谷に打ち明けると、花岡の店をメディアでも取り上げてもらえる様に働きかけて見る等と中谷は言い、できる限り力を貸す意思を見せます。
その翌日に「花岡企画」の事務所へ、協力はできない、手を切らせて欲しいという中谷からの電話が来ます…。
“象vsアリ”を思わせる様なビジネス上での戦いを挑んだ花岡の挑戦する力はかなり強いものだと思いました。一方で、中谷が優先的な方についてしまうところを見て、正に“長い物には巻かれろ”といった風潮が伝わって来るかの様でした。
Round.29 自分達の店
井川の店が渋谷にて開店し、多くの客が集うなか、テープカットが行われました。それも中原綾名がイメージガールとして器用されたうえ、その場には電広堂の中谷まで顔を出しており、会場を遠くから見ていた花岡達にとっては自分達への当て付けにしか見えませんでした。
そう思いつつ、花岡達は一ツ橋商事に呼ばれている故にその場を後にします。
事務所では、井川の店が渋谷に開店した事を聞いた八重子も悔しい思いをし、日高も圧倒的に大きい井川の店と戦うのかと思うと悪寒が走ったと伝えます。そこへ佐伯が慌ててやって来ます。
そして、一ツ橋商事との契約打ち切りを告げられたと言います。その理由は、花岡側が直営店を出して対抗する事が気に食わないものと、花岡自身も考えます。
八重子はこれからどうするのか、まさか自社ブランド一本で行く気かと尋ねると、“そのまさかだ”と花岡は答えます。続けて花岡は“一ツ橋と切れてスッキリ…せいせいした。晴れて俺達は自由の身だ。”と告げ、開店準備の準備を進める様に促します。
そして、自社ブランド店「T-BOX」開店に向けて新しい一歩を歩み始めました…。
一ツ橋商事との契約が打ち切られた事をポジティブにとらえ、独立店として前進していく花岡達の行動はとてもイキイキしている様に見えます。ついつい周りの状態を気にしてしまいがちですが、それらにとらわれない事が必要なのかもしれません。
Round.30 T-BOX開店!!
花岡側の直営店「T-BOX」が開店し、そこへノブが訪ねて来て、花岡はノブを奥の部屋へ連れて行きました。ノブはヨーコとの間にもうすぐ子供が生まれる事を報告し、花岡はそれを祝います。またノブは、花岡が店頭売り一本で行く花岡の行動に対し、心配していました。
そこへ井川と秘書が訪ねて来て、開店祝いの挨拶に来ました。Tシャツだけだから、風通しも良いという井川の言葉は、花岡達にとっては冷やかしにしか聞こえませんでした。
花岡の店を出てから、歩きながら井川は潰れるのは時間の問題等と、花岡の店を批判します。一方で井川の秘書は、花岡の店は今までにない売り方をしていて、その斬新さやユニークさに世間が気づいた時に新しい風が吹くかもしれないと捉えます。
また秘書は、花岡についてボクサー時代から遡って調べて見たところ、前半は苦しむが後半は必ず逆転しており、更に相手の弱点を見つけて確実なパンチをヒットさせていたとの事です。そして“あの人(花岡)、実は…とても賢くてしぶとい人ですよ。”と、秘書は井川に忠告する様に告げます。
「T-BOX」開店初日での、来客の反応はあまり良くなく、Tシャツのみ販売という事もあり、物足りなさを感じていた様です。
その夜、花岡達は対策会議を開き、日高は少しでも売り上げる対応策をたてるべきだと言い、佐伯もジーンズやカットソー等を置いて、品揃えを良くすべきではと告げます。
それらの意見に対し花岡は、“ダメだ、他の商品を入れたら…タバコ屋じゃなくなる…、今は客に店の雰囲気に慣れてもらうことだ。慣れれば、必ず必ず買ってくれる、必ず売れる。”と答えます。
それを聞いた大林は納得したのか、初日から慌ててもしょうがないから、腰据えてじっくりいこうと告げます。続けて花岡は、これからの「新しい計画」について話し始めます…。
ノブも色々ありましたが、様々な荒波を乗り越えつつ花岡のサポート役を務めていて、花岡もそんな彼や周りによって支えられている様に思えます。一方の花岡は次々と新しいステップへ踏み出そうとしていますが、周囲に理解してもらうのが中々難しいのかなと感じました。
Round.31 拡大路線
花岡は夏までに三店舗を開店させるうえ、資金について“一世一代の…大借金をする。”と告げます。その帰り道、大林、日高、佐伯の三人は花岡の言葉について話していました。
日高は、花岡の言動に憤りを感じており、“いきなり出店するとか、借金するとか、独断専行も甚だしい。”と怒りを露にしていました。
一方、事務所では花岡とノブも開店の為の“借金”について話しており、話は花岡が借金の為に準備している事に話題が進みます。ノブは塚原から金を借りているのではと聞くと、それはないと花岡は答えます。
そして、“だいたい…俺はあの会長を心底信用しているわけじゃねえ。”とも言い、塚原とは最初の一億て金のやり取りは終わりだと花岡は言います。
そうなると銀行かとノブが聞くと、そうだと花岡は言い、既に幾つかの銀行に当たりはつけて、出店が決まり次第、融資の段取りはできてると言います。
その後の「T-BOX」はというと、やはりTシャツしか販売していないのがマイナスとなり、売り行きは伸び悩んでいました。
一方で、近くにある井川の店は売り上げが快調であるうえ、花岡の店の売り上げが低調である事を秘書から聞いた井川はさも嬉しそうでした。
また井川は、秘書と共に新宿駅ビルにあるテナント入札説明会へ向かうところであり、夏までに8店舗を増やすと井川の意欲はより高まっていました。そんな彼女の言葉を聞いた秘書は、少し不安そうでした。
その頃、花岡達も同じくテナント入札説明会へ向かっていましたが、向かう車の中での日高の表情は険しいものとなっていました。そんな日高の顔を見て、花岡は言いたい事があれば言う様に日高に促します。
渋谷で開店している店が軌道に乗っていない状態で、借金をしてまで新たな店舗を増やす事が疑問だと日高は言います。
すると花岡は、“決めるのは俺だ。お前らはただ黙って従ってりゃいいんだ。”と答えます。その際、返事はしたものの、日高の表情はより曇ったものとなっていきました…。
日高の様に真面目（過ぎる？）な者はリーダーや経営者は向いていない様に感じ、また井川の秘書も彼女によって振り回されている様な感じで中々周りと順応できないと思えました。また花岡が塚原を心底信用しているわけではないと言った如く、様々な人間の思いを見極める力も必要なのかなと思いました。
Round.32 新店舗競争…
テナント募集説明会にて、募集するのは2店舗で一つは立地と広さは申し分ないAゾーンC、もう一つはファッションフロアの端っこにあるCゾーンFでした。
参加していた井川の秘書は、殆どの参加者がAゾーンCを狙っていると考え、井川も同じでした。同時に、花岡に対しては競争相手と見ておらず、入札へ参加とは身の程知らずだとさえ考えていました。
説明会が終わり、井川は会場の外へ出たところで、花岡達に遭遇します。井川がAゾーンCを希望しているかと聞くと、“あの…話してるヒマないんで…”と答えた花岡は、井川から遠ざける様にその場を去って行きます。
そんな花岡の態度に井川はカッとなり、彼を“叩き潰す”という思いがより高まったのでした。
「T-BOX」では少しずつではあるも、客が増え始めていました。今は店をアピールし、Tシャツのみを売っている事や品数が豊富である事を客の心に植え付ける事だと花岡は言います。
また花岡は、そうする事により“Tシャツ買うなら、まずT-BOXに行こう”という事となると言い、“（客は）必ず戻ってくる、大陸を何千キロも飛ぶ渡り鳥達が、帰巣本能によって必ず同じ場所に帰って来るように！”とも告げます。
これらの事を佐伯や大林に伝えると、花岡は用事で店を後にします。佐伯が「新店舗出店計画」について聞くと、現時点の会社の資本力では不可能ではと日高は答えますが…。
花岡は、競争相手であった井川でさえも相手にしなくなる程に、次のステップへ前進したかったのかもしれませんね。逆にその様な行動により、周りから反感を買う事になるのではないでしょうか。
Round.33 コロンブスの船
立地や広さが最悪であるCゾーンFに出店する“道なきところに道をつくる”という花岡のやり方に大林や日高は反対します。彼等の態度に花岡は“お前らの意見なんか聞いちゃいねえんだよ。”とまで告げます。
その言葉に日高は声を荒げたところで、八重子が声を上げ止めにかかります。それにより、花岡は一旦事務所を後にします。日高は八重子からあまり感情的になるなと言われ、彼女や大林らに謝罪する。
その後、花岡は秋田の工場にいるノブに電話し、Tシャツの生産一時休止をお願いし、ノブはそれを承諾します。経理の菅原からも売り上げを増やさないと生産調整をしなければと言います。
それに対し花岡は“最後の手段”と答え、“あの店は必ず売れる”とも告げますが、その表情には疲れが見えていました。それは、彼のもとへ訪ねて来たノブも感じていました。
またノブは、花岡が新店舗出店の件で日高と揉めた事を取り上げ、周りの意見を聞いて会社全体で力を合わせる様にノブは言います。
それに対し花岡は、“社員一丸なんて夢か幻の世界だ。なんだかんだいって結局、世の中、金よ。”と答え、商売が順調となり金回りが良くなる事で従業員との揉め事は解決すると告げます。
また花岡は、会社の事業は、“新発見に向かったコロンブスの船”のようなものだとも言います…。
経営者として前進したい裏腹で、儲けという言葉が出て来た時点で花岡には焦りの思いがある様に感じられます。大きく飛躍しようとする行動が吉と出るか凶と出るか周りもヒヤヒヤさせられるのではないでしょうか。
Round.34 部下の離脱
花岡がテナント契約をし、新宿店を出店すると告げた事に日高は納得行かず、会社を辞めるとまで言い出します。そんな日高に対し、花岡は“新宿出店はする！船の行き先と出航は決まってるんだ。”と告げます。
更に続けて花岡は、“ただしこの船は、乗りたい奴だけ乗せて船出する！おめえはそうやって何隻の船を降りてきた？いったい何隻の船を見送ってきたんだ？だから転落するんだよ、結局ひとりぼっちになるんだよ”と釘を刺す様に言います。
そして新宿出店はする事を改めて告げ、後は自分で決める様にも日高に言った花岡は、事務所を出ていきます。
大林や八重子は、腹をくくり花岡について行く様に促すも、日高は納得行かない事に従えないと自らの意志を変えませんでした。
その後、花岡はノブに連絡をし秋田の工場を担保にして銀行から融資を受け止れる様にし、資金を工面しどうにか新宿支店を出店しようと試みますが…。
日高の、自分の生き方や信念を貫き通したいという気持ちも分からなくもありませんが、頑固な感じに思えました。その頑固さにより花岡が言う“船を降り、見送る”様な生き方になってしまうのかなと感じました。
Round.35 嵐の真っ只中
大林や八重子達が日高の宿舎を訪ねるも、彼はいませんでした。それでも大林は日高に会って話せるまで粘り強く連絡を取ると言います。
八重子は日高が何故自衛隊を辞めたのか大林に聞くが、事情までは知らないが何かの事故により責任を感じたものによるのではないかと告げます。
その後八重子は、新宿出店が資金関係で無理だろうと菅原から聞かされ、新しいTシャツを作っている最中だった八重子はガッカリした様子です。
ただ大林は、事業資金を出してくれた塚原に花岡が頭を下げれば、出店資金はどうにかなるのではと告げます。
「T-BOX」渋谷店の少しずつ売り上げや勢いが上がって来ており、花岡も銀行に出向いては、新宿に出店すれば今の渋谷店の1.5倍の売り上げが見込めると伝えるも、現時点の実績を見た相手先の反応は良くありません。
事務所に戻った花岡は、菅原に“やむをえない、最後の手段だ。工場に全員を集めてくれ。”と告げます…。
この回での花岡の悩む表情や従業員達に重大な事を伝えるまでの経緯を見ながら、商売の難しさが伝わって来た様に感じられます。また度々、嵐の中で船に乗っている状態を例えながら表現する事により、今の厳しい状況が更に伝わって来る様に感じられました。
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