突如沸き起こった多美子姫入内の報せ。良相、良房、基経、善男、そして常行の思惑が重なります。狙われる多美子を無事に入内させる道真考案の作戦、成功なるか？
漫画『応天の門』7巻には第34話から第39話が収録されています。
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目次
第三十四話 藤原多美子、入内の事 一
妹・多美子を入内の日まで匿ってほしい。常行は業平に相談します。善男は多美子入内に大笑い。良房よりかは良相のほうがまだましだと思っていたからです。心中穏やかではないのは、良房、基経。あくまでも高子を入内させる気です。
高子の元へ多美子がやってきました。また13歳にもならない彼女はふんわりとした優しい少女。姉と慕っている高子に相談をしにきたのです。母の屋敷で入内の準備をしている多美子ですが、夜、床下から物音がするとのこと。床下を調べるも何も出てこず、物の怪ではないかと怖がっています。
多美子の話を聞いた高子は女官・山路を呼び、菅原家に文を出します。
第三十五話 藤原多美子、入内の事 二
高子からの文に驚く菅原家。宛先は是善となっております。退屈なので白梅を寄越して本を貸してほしいとの内容でした。しかし、文は途中になっており、火で炙ると別の文字が浮かび上がってきました。多美子の屋敷の話が書いてあったのです。
白梅を呼び寄せた高子は、藤原一族が権力争いをしていることに嘆き、この度入内する多美子の力になってほしいと頼みます。多美子の屋敷の怪異を解決するべく、道真との連絡係を白梅に命じるのです。藤原家に関わりたくない道真でしたが、仕方なく高子の命に従うことにします。まずは白梅を多美子の屋敷に出入りさせること。多美子に漢学を教えに行くのです。
業平は昭姫の元へと聞き込み調査をしておりました。多美子の屋敷で起こる怪異を知ります。また、常行は基経に多美子に手を出さないよう掴みかかるのでした。
第三十六話 藤原多美子、入内の事 三
多美子の屋敷に入った白梅。早速床下を調べます。するとそこには米を貪る鼠の群れがおりました。米は床下に打ち付けられていた藁人形から漏れていたのです。誰かが釘で、米の入った呪いの藁人形を多美子の部屋の床下に打ち付けていたのです。
藁人形を菅原家に持ち帰った白梅ですが、道真から無理して藤原家に関わらないでよいと言われてしまいます。
しかし、幼い多美子を哀れに思った白梅はまだ手伝いをしたいと直訴します。根負けした道真は、鼠を追い払う方法を白梅に教えます。無事、鼠を追い払い、多美子に床下の物音の正体を報告し多美子を安心させます。しかし、女官・深雪(みゆき)が、多美子の御膳に毒を盛ります。その瞬間に居合わせた白梅でしたが、女官・吉野は、入内を控えた多美子に穢れがあってはならないと、深雪を殺さず、追い出すのでした。
多美子をよく思わない人間が追い出されほっとする白梅。しかし、また藁人形を見つけてしまい恐れ慄きます。そこへ、業平が現れるのでした。
第三十七話 藤原多美子、入内の事 四
多美子の屋敷の警備にあたっていた業平は、白梅が屋敷にいる理由を聞いて納得します。これ以上関わりたくない道真でしたが、多美子入内までの十日間、乗り掛かった船と思い力を貸してほしいと頼まれてしまい、白梅も引き続き、手伝うことになります。
問題は、母の屋敷にいる多美子が父の屋敷までいく道のり。父の屋敷で入内の勅使を迎えるのですが、その道を襲われることなく通らなければなりません。一方、みんなが忙しなくしている最中、暇を持て余していた長谷雄は昭姫の店にいました。そこで暴れる豊城と会います。小藤にちょっかいをだしている豊城。小藤を助けるため、長谷雄は豊城と双六勝負をし、見事勝利しますが、イカサマだと納得いかない豊城は暴れだします。
騒ぎを聞いて駆けつけたのは業平。場を収めますが、豊城の持っている検非違使専用の刀が気になります。魂鎮の宴で矢を打ったのは豊城ではと推理します。長谷雄には多美子入内の手伝いを命じます。
一方、基経は、深雪が仕損じたことを知り、違う方法で多美子入内の邪魔をしようと、また、よからぬことを考えておりました。
第三十八話 藤原多美子、入内の事 五
京では藤原家のお姫様が入内する話で持ちきりです。基経も民に粥を振る舞い、話を広げて行きます。道真、業平、白梅は、多美子を移動中の妨害から守るための案を練ります。
協力を仰いだのは女官の吉野。彼女に高子からの指示で多美子を守りにきたと話す白梅に、吉野は頭を下げて姫に怖い思いはさせないよう頼むのです。漢学の勉強に勤しむ多美子。入内の日はもうすぐです。
伴家では善男が豊城に激怒しておりました。昭姫の店で騒いだことに怒っていたのです。多美子入内のこの時期に騒ぎを起こしたとあっては一大事。魂鎮の宴に良房に向けて矢を射ったことも善男は知っていましたが、豊城にはこれ以上何もするなと忠告するのでした。
さて、入内直前。吉野は多美子に京は鬼でいっぱいであるため、移動中の牛車からは絶対に出てはならないと言い含めます。多美子の牛車の警護にあたるのは兄の常行と業平。吉野は先に経典を載せた牛車とともに出発していきます。多美子の牛車が移動するのは夜。常行は先日の百鬼夜行のことも気になっておりました。この作戦の考案者である道真も塀の上に潜んで行列を見守っています。
すると、向こうから百鬼夜行が現れます。こちらを先に通すよう伝える業平。しかし、塀の上には豊城がおり、業平の一行と百鬼夜行の一行目掛けて油を撒いていき、火を放ちます。場は大混乱し、多美子を乗せた牛車は暴走してしまいます。牛車を追いかけ中を見た豊城。中に入っていたのは何と、長谷雄…！
第三十九話 藤原多美子、入内の事 六
多美子の身代わりとして牛車に入っていた長谷雄。まんまとしてやられた豊城は業平や検非違使達が近づいてきたため、逃げていきました。
多美子は先に経典と一緒に吉野と出発していたのです。全て道真の考案です。多美子は経典と一緒に葛籠の中で眠ってしまっていました。多美子を呼ぶ父・良相の声で目覚めます。父の屋敷に到着していたのでした。
翌日、帝の勅使がやってきて、多美子は無事、入内することができたのです。
帝と無邪気に遊ぶ多美子。鬼から身を守るため葛籠の中に潜んでやってきたことを帝に話し、笑って過ごしておりました。帝は多美子を労いますが、「鬼などいなかった」と屈託のない笑顔で答えるのでした。
漫画『応天の門』 7巻 まとめ
幼い多美子の入内を巡り、それぞれの思惑が交錯します。やっと繋がる点と線に目が離せない展開を経て、多美子は無事入内するのでした。
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