『ひゃくえむ。』の魚豊先生による地動説マンガの傑作!『チ。-地球の運動についてー』第2巻は、貴族から依頼された決闘を請け負う代闘士のオクジーは、自らの剣で倒れて死んでいく者の姿を見てきました。
彼等は決して満足そうな顔をして死なず、まして天国には行けないのではとオクジーは考えていました。
すると、同じ代闘士であるグラスは、この世界における“希望”を見つけ出したと言い出します…。
『チ。-地球の運動についてー』2巻には第5話~第12話までが収録されています。
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漫画『チ。-地球の運動についてー』1巻ネタバレ|天才ラファウを動かす真理とは?
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第5話
代闘士のオクジーは、“夜空がいつも綺麗なのは、この穢れた大地(セカイ)から見上げているから”“下等な地球如きとは調和しない。”と教えられてきました。
その為にオクジーは、夜空を見上げる事が苦手でした。
オクジーは共に代闘士を行うグラスと共に覆面で顔を隠したうえで、貴族からの依頼で対象となった相手との決闘を行っていました。
そして命乞いをする相手も構わず、最後は剣で殺害しました
依頼された仕事とはいえ、今まで殺してきた相手は満足そうな顔をして死んだ者はいない、天国に行けるのはごく僅かではないかとネガティブな発言をします。
そんなオクジーに対しグラスは、この世界で好きな事や物はあるかと聞いてきます。
“私は見つけてしまったのだ。絶対の信頼をおける者をね。”とグラスは話し、その“希望”がある場所へとオクジーを連れて行きます…。
第1巻でのラファウの死から10年から経過した後に、彼が研究していた地動説を引き継ぐ者が現れようとしている感じで、時代や思考は繰り返されていくのかなと思いました。
今回の主人公になるであろうオクジーに対しも、人生の転換期となるきっかけを与える様な人物が出てくるのも興味深いのではないでしょうか。
第6話
酒場にてオクジーがグラスから渡されたのは火星の観測記録で、“かせい”は何かと尋ねます。
グラスは夜空を見上げ、毎晩同じ配置に星座が見えて、形を変えず一晩で東から西へ動きアが来るものだと思っていたが、ある驚愕の事実に気付いたと話します。
“あの天には固定された星座の中を動く星もあるのだ…!”と告げます。
僅かながら数日単位で確実に位置が変わっているその星は“惑星”と呼ばれていて、六つ程あり、太陽もその一つだとグラスは説明します。
そして、これらの星の中で最も明確で炎の様に赤く輝く星が火星であり、グラスは火星について毎晩記録しているとの事です。
火星の軌道は完璧であり、その状態を見る事が可能な地球や人も捨てたものではないと、グラスは熱く語ります。
そこへ、オクジーやグラス達の傍で酒を飲んでいた上流市民の男が、“観測を始めた時期が悪かった。じゃなきゃ、もっと前に気付けたのに。”と呟き、薄ら笑いを浮かべます。
その言葉に少し気分を害したグラスでしたが、その場は流し、酒場を出てオクジーやグラスは別れます。
帰り道、オクジーは別の代闘士二人と遭遇します。
オクジーは彼等から、グラスは家族全員が疫病により亡くなって以降、絶望して自殺未遂も図った事を聞かされます。
グラスは死に切れなかった事に更に悲観したそうですが、この1~2年、急に明るくなったそうです。
その理由が観測を始めた事で、グラスは“あれは天国からのメッセージだ”“私を勇気づける為に完璧を”と言っていたそうです。
彼の様子に、他の代闘士達は引き気味であり、何をするか分からないから気を付けろとオクジーに警告します。
翌日、オクジーはグラスと再び遭遇しますが、彼は夜空を見ながら“ありえ、ない”と口にします。
彼によると、ここ最近、火星の動きが止まっているとの事です…。
グラスはあまりにも純粋な人物故に、目の前の信じるべきものに裏切られた時の挫折感は相当なものなのかなと感じられました。
感情的、かつ過激な行動に走りやすいのではという事が、周囲へ伝わっていた事が分かります。
第7話
オクジーとグラスは異端審問官のダミアンから捕らえられた異端者の男を輸送する馬車への同乗を命じられます。
またダミアンは、異端者が悪魔と通じているかもしれないから、輸送中は何を言われても無視する様にオクジー達に指示しました。
馬車の中でオクジーとグラスに対し、異端者の男が向かい合わせに座っていました。
不意に被っていた覆面を外したグラスに、異端者はそんな事をしてもいいのかと聞きます。
これから死ぬ異端者に顔を見られようが何も困らないと、グラスは答えます。
またオクジーも異端者に、何故C教に歯向かい、天国に行けなくなる様な事をするのかと尋ねます。
すると異端者は、今のC教は本当に救ってくれるのか、天国など本当に存在するのかと、逆にオクジー達へ聞いてきます。
続けて異端者は、“この世の絶望から目をそらす為にあるかもわからぬ天国に逃げてるだけじゃないのか?”と告げます。
異端者の言葉にグラスは憤慨し、“黙っていれば戯言ばかり!何も知らないで”と言いつつ剣を抜きます…。
この回のオクジー達のやり取りは、それぞれの信念の強さが問われているかの様にも思えました。
この心理戦により、思わず感情をむき出しにしたのがグラスですが、ここではまた別の運命に結びついていったのかなと思いました。
第8話
異端審問官のノヴァクは大あくびをし、ダルそうな感じでダミアンから言われた任務に就いていました。
その矢先にダミアンは、馬車の様子がおかしい事に気づき、馬車から一人飛び降りたのを目にします。
ダミアンは警備組合(オクジーやグラス)の者が裏切ったと思い、傍にいたノヴァクに後を追う様に指示します。
ノヴァクはボウガンで馬車の馬を打ち、馬は倒れ、荷台は横倒しとなりました。
もう一人、オクジーはノヴァクの存在に気づくと彼に駆け寄るも、剣を向けられます。
ノヴァクの剣を見て、隙が無く戦ったら死ぬと悟ったオクジーは、“負けました!俺が悪いです。許してください!”とひざまずきます。
しかし、ノヴァクはオクジーに対し、一度裏切っているうえ、必要無いからとして、剣を振るいます。
その時、ノヴァクの剣は突然、目の前に現れた異端者の胸部に刺さります。
異端児者は血を吐いた状態でネックレスを差し出します。
そして、“歴史が君を必要としたからだ、頼む。”と告げた異端者は絶命します…。
前作の第1巻とは全く新しい時代の内容なのかなと思いきや、繋がりや関連がある人物が出てきて、正に“運命”を描いているかの様でした。
ノヴァクも、時代を越えて繋がり、歴史を動かすまでの行動をやろうとしていたのかなと感じられました。
第9話
オクジーとグラスは村へ行く道を探していたもの、途中で橋が崩れていて立ち往生する。
また、彼等は森の中で石箱を発見し、箱の中には古い書物が幾つか入っていました。
しかしこれらは、ラテン語や数式で書かれており、グラス達は理解できませんでした。
けれどもグラスは、自分のせいでオクジーが街にも組合にも戻れないだろうと告げるなか、この事態を石箱で全てを逆転できるのではと話します。
そして、石箱を見せるべき相手(ひと)に見せる事により、手柄を与えてくれるかもしれないとも言います。
その相手とは、グラスが惑星についての話を尋ねた修道士のバデーニだとの事です。
バデーニは、その素行不良や思想上の禁忌により、少し前に田舎の修道院へ左遷されたそうです。
そんなバデーニが適任だとグラスは言い、早速彼のもとへ行こうと告げますが、“冷静になれば、この先もついていく必要あんまりないというか…グラスさんが決めてくれますか?”とオクジーは引き気味でした…。
オクジーとグラス、惑星や火星観測に対する熱の差が大きく出ているかの様に見えたものの、逆にそれが研究を引き継ぐ秘訣となっていたのかもしれません。
ほどよい冷静と情熱さにより、学力に奥が深まっているのではないでしょうか。
第10話
ある田舎の修道院にで、右目に眼帯を付けて顔に複数傷がある若い修道士のバデーニは黙々と職務をこなしていました。
バデーニは、自分はここで一体何をやっているのだろうと鬱々とした思いをしていました。
この修道院に入る前、バデーニは街の修道院にいた時にそこの修道院長から懲罰を言い渡されます。
その理由は、想定を超えた勉強は許されず、足並みを揃えた行動を行わなければならないと修道院長から告げられます。
懲罰により顔が腫れて出血もしながら“私より無知な者との協力は、不毛です。”と話すバデーニに対し、懲罰中の発言は懲罰対象とし、ムチ打ちを自分でやる様に修道院長が指示します。
自らの腕を鞭で何度も打ち付けるバデーニの行動に、修道院長が止めに掛かります。
バデーニは、懲罰を30回程追加したから少し発言していいかと、修道院長に言います。
何故ここまで同じ事を繰り返すのかと修道院長が尋ねたのに対し、“懲罰と引き替えに勉強の自由を得られる限りは”とバデーニは答えます。
そして、“私がずっと待っている、私を特別にする瞬間。私を偉大にする瞬間。私が歴史を動かす瞬間ですよ。”と告げるバデーニの意図とは…。
感情を抑え続けて行動する事が中々難しい事がバデーニの行動から伝わってきます。
まして、自らを犠牲にしてまで行動を起こそうとしたのは、バデーニが命を掛けてまで内の思いを伝えたかった事が伺えます。
第11話
バデーニのいる修道院へオクジーが訪ねて来ます。
オクジーは見てほしい書類があり、その書類がある場所までバデーニを案内しようとします。
オクジーが近づこうとした時、オクジーが傭兵だと分かったバデーニは、自分は聖職者だから一定の距離を保つ様にと告げます。
また、バデーニが“君の情報(はなし)は、私の人生を大きく変えると言えるか?”と聞きます。
C教に少し問題があるかもしれないから、ある意味人生を変えてしまうのではとオクジーは話します。
しかし、肝心の内容について“わかりません。”とオクジーは話し、手元にある記録を取っていた者からの伝言だとも言います。
オクジーは、グラスが記していた火星の観測記録を示した書物をバデーニに見せます。
精密な観測記録に関心を示すバデーニでしたが、火星の“逆行”からの記録が無い事に気付きます。
その観測記録をした者が、“逆行”に心を痛めて記録を止めてしまったとオクジーが説明します。
記録を止めた理由も分からないとオクジーが話すと、バデーニは呆れた様子で帰ってくれとオクジーに言います。
仕方なく帰って行くオクジーであり、バデーニも“…やはりここでは、人生を特別にする瞬間など…”と期待を裏切られた様な感覚を覚えていました。
しかし、同時に“その傲慢な態度のままでは”特別“などにはなれん。”という思いも生じていました。
そして、扉を開けて外へ出て行こうとしたオクジーを、“待て。”と言い引き止めたバデーニでした…。
オクジーの自信無さげ、かつ他人事の様に書類を伝えた様子が、かえってバデーニに強い印象を残したのかもしれません。
淡々とした生活に嫌気がさし、刺激を求めていたバデーニの本性も現れた感じでした。
第12話
オクジーはバデーニを書類がある場所へ案内します。
石箱に入った書物や資料を見たバデーニは“宇宙が変わるぞ。”と話し、突然その場で嘔吐します。
オクジーは驚きますが、バデーニは大丈夫だと話し、“今吐き出したのは、くだらん常識と積み上げた思い込みだ。”と話します。
資料に一体何が書かれていたのかとオクジーが聞くと、“地球は動いていると書いてある。”とバデーニが答えます。
神は間違っておらず、人類が理解できる様に宇宙を創ったとも説明します。
それでもいまひとつピンと来ないオクジーへ、バデーニは一つ実験をすると言い出します…。
書類を目にした時のバデーニの行動は衝撃的でしたが、それだけ今後における歴史の変化がある事が痛烈に伝えられたと伝わりました。
またオクジーに対し、何がなんでも理解させようとする、バデーニの熱意も計り知れないと思いました。