第20巻は、ヨーム戦師団との内紛に参加する事となったトルケルは、“クヌートからの命令”とはいえ争う気満々で、軍を率いてヨーム団本拠地・ヨムスボルグへ向かいます。
ヨーム団側はフローキが雇った戦士ガルムが（フローキとは対立していた）ヴァグンを殺害した為、（ヴァグンを獲物としていた）トルケル側とは関係がギクシャクします。ヨーム団側はトルケル軍との交渉を試みるも、トルケルは理由なしに争いを求め交渉は決裂、戦いが激化していきます…。
漫画『ヴィンランド・サガ』20巻には第137話～第144話までが収録されています。
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漫画『ヴィンランド・サガ』19巻ネタバレや感想など｜ヨーム戦士団からの脱出！
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目次
第137話 バルト海戦役⑬
クヌートはウルフらと共にデンマーク、スコーネ地方へ狩りに出かけていましたが、この一帯に住む狼達により、(狩りの対象である)鹿をほぼ食い尽くされていました。
クヌートはウルフに、同じ『ウルフ(狼)』という名で心が通じれば、狼達に獲物を獲るのを止めて畑を耕すように言ってくれないかと聞きます。それに対しウルフは、“狼は狼”で獲物を殺して食う生き方を変える事はないと答えます。
するとクヌートは、“余の森から狼共を間引かねばならぬ”と言いつつ“共食いをさせる、首領を殺せば群れは割れ相争うであろう”と言及します。
それから半年後、ウルフはトルケルらの船上にいました。いつもなら自分の行動を止めるのに、今回は“ヨーム戦士団の内紛に介入”を命じるというあたかも“暴れる”事を推進するかの様なクヌートのやり方に、トルケルは腑に落ちない様でした。
そしてトルケルは突然、ウルフの首を片腕で締め上げ、“オレを操ってる気になるなよ、オレァ戦いてェ時に戦い、死にてェ時に死ぬ。クヌートに伝えろ、殺してェ奴がいるなら、テメェで剣持って殺しに行けってな”と、あくまで自分の戦いの為だと言ったのでした...。
ウルフの“狼は狼で生き方を変える事はない”という言葉が印象的で、環境やライフスタイルを変える者はごくわずかなのかなと思いました。それを考えると、トルフィンがいう戦場を平和の土地に変える事は至難の業の様にさえ感じるのかもしれません。
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第138話 バルト海戦役⑭
ヨーム戦士団本拠地ヨムスボルグでは、ヴァグンの首を持って帰って来たガルムに、フローキは頭を悩ませていました。
ヨーム戦士団がトルケルへ軍資金を送ったものの、ガルムが本来狙うべきトルフィンではなく、ヴァグンを殺害してしまった(トルケルの獲物を横取りした)故に、軍資金が送り返されていました。
フローキが、ガルムの身柄をトルケルに差し出すしかないと言うのに対し、ガルムは“トルケルは敵に回ったんだよね？じゃあもうオレが殺してもいいわけだ。デッカイ野心を持とうぜ、フローキの旦那！”と、全く引き下がる様子を見せませんでした。
結局ガルムは、その危なっかしい言動、行動により、地下の牢屋に入れられてしまいます。彼が閉じ込めれた向かいの牢屋には、エイナル・レイフ・グズリーズの3人も閉じ込められていました...。
トルフィンの様に平和を求める者もいれば、トルケルやガルムの様に血に飢え常に争いをやりたがっている者もいる、磁石の様に人間が作られている感じですね。理由を付けては争おうとするとなると、尚更タチが悪いですね。
第139話 バルト海戦役⑮
ギョロは一人、船の上で洗濯をしつつ、赤ん坊のカルリの面倒を見る事に疲れ切っていました。そんななかトルフィンが戻って来ると、ギョロは思わず彼に泣きつきます。
また、ギョロはエイナル達がガルムによって連れ去られた事をトルフィンに伝えます。
トルフィンは、ガルムが“自分との戦いをしたい”がために、エイナルらを去らったと伝えます。ギョロは急いでガルムがいるヨムスボルグへ向かう準備に取り掛かります。
一方、トルフィンは躊躇っている様子で、“ヨムスボルグへ行けば、誰かを殺すだろう、そんな予感がする。誰かを助けるかわりに、誰かを...殺してしまう”と己の心情を明かします...。
普段は周りのキャラクター達により隅に押されがちなギョロですが、自分達と同じ目線で描かれている様な感じがします。自身の弱い部分も多く見せる分、共感できるものも多いです。
第140話 バルト海戦役⑯
トルケル側の軍、ヨーム戦士団、互いの13隻の船をそれぞれの軍陣地に設営している事を知ったフローキは、まだ交渉の余地があるとして、ガルムを牢獄から出します。
その頃、ヨムスボルグ南トルケル軍陣地では、部下が持って来た鎖を、シグルドが鞭の様に振り樽の上にある幾つもの陶器を壊す“腕試し”を披露していました。それを偶然見ていたトルケルが、自分の側に着いてどう戦うか見てみたいとシグルドを褒めその場を去ります。
シグルドは、“このオレが、トルケル将軍と肩を並べて戦う！？そんな事になったら...語り継がれる伝説になってしまうじゃないか”と、自身の妄想に浸ってしまっていたのでした。
そんな彼を、部下であり友人でもある彼等は心配し、“近頃、自分を見失っちゃいないか、グズリーズさんを連れて帰るのが目的でしょ？死んだら、元も子も無いぜ”と忠告するも、シグルドは聞く耳を持ちませんでした。
一方、ガルムを連れて来たヨーム団とトルケル軍との“和平交渉”が行われようとしていました。ヨーム側は、“ガルムが行った行動で誤解が生じた事で争う理由は無い”という意見でした。
しかし、トルケルの“誤解とか、理由とかどーでもいいのよ、戦争(ケンカ)がしてェんだよ”という主張により、交渉は決裂します...。
トルケルは正に『理由なき反抗』といった感じでしょうか？そんな戦いに浸るトルケルに憧れるシグルドも、テンションが上がり妄想癖が激しくなる…、これもまた現代人にありがちな考えを“風刺”している様にも思えました。
第141話 バルト海戦役⑰
聞き訳の無いトルケルの言動により交渉は決裂、フローキもトルケル軍との戦いに受けてたつ事にしました。その頃、地下牢ではエイナル・レイフ・グズリーズの3人が、壁の石や檻の柵をこじ開けて脱出を試みますが、びくともしません。
そんな彼等の前に現れた少年は、トルフィンのいとこ(フローキの孫)だというバルドルでした。彼はエイナル達が収容されている檻の鍵を開け“本当にごめんなさい、僕が悪いんです…”と謝罪し、連れてきた数人の者と衣服を交換しここから逃げる様に告げます。
エルフが何故そこまでしてくれるのかと聞くと、バルドルは“ボクが...この戦争の原因だからです、ボクを助けてください...”とうつむきます。一方、ヨーム団とトルケル軍との戦いは既に開始され、トルケルとガルム、互いの一歩も譲らない血みどろの争いが展開していました...。
やっと、トルフィンの様に、純粋で争いを好まない平和主義者なキャラクターが出て来たか…てな感じですね。血みどろの戦いの中でこの様なキャラクターがいると、何だかホッとします。
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第142話 バルト海戦役⑱
ヨーム団とトルケル軍との戦いが本格化していくなか、エイナル達は借りた衣服や鎧を身にまとい、バルドルの案内の下で“逃亡”を始めます。現在ヨムスボルグはヨーム戦士団の後継者をかけて、二つの軍団に分かれて争っていました。
フローキにより、次の後継者が一方的にバルドルに決められ、それを不満に思う側もいたからです。バルドルとしては、トルフィンに団長の座を譲り、争いを平和的に終結させてほしいと伝えます。
その内容に驚いたエイナルらは、トルフィンは決して団長にもならず争いを好まない事を伝え、バルドルに誤った情報が流れていた事が判明します。
いずれにしても、ここから抜け出す必要があるとして、バルドルはある秘密の脱出口へ案内します。そこは、彼と数人の召し使いしか知らないという、井戸からの抜け道でした。
確認の為にエイナルが先に入り、そして一人ずつ入っていくなか、グズリーズがふとバルドルに尋ねます。“アタシ達と一緒に来ない？本当にイヤな事、ホントにホントにど～しても嫌な事からは、逃げちゃってもいいと思うよ”という彼女の問いに対し、
バルドルは“逃げる...考えた事もなかった...”と声に出します。しかしその矢先に、数人のヨーム団兵士がやって来て、バルドル、グズリーズを目にしてしまったのでした...。
よくよく考えたら、グズリーズも長々と喋ってないでバルドルを井戸へ連れていけば良かったのに…、なんて思ったりもしてました。まあそんな事、言ったらドラマが面白くならないと思いますが…。
第143話 バルト海戦役 ⑲
グズリーズ、バルドルの前にヨーム団兵士がやって来てしまい、その一人がバルドルに危険だからここを立ち去る様に言って来ます。
バルドルはその兵士に散歩していただけだとごまかすも、直ぐに井戸の下から“おォいグズリーズ！何しとる、置いてくぞ！”と、レイフがグズリーズを呼ぶ声が聞こえてきます。
焦ったグズリーズも(この時軍の衣服は脱いでいたので、兵士から召し使いと間違えられていた)、“男の声っぽいオナラをしました”という苦しい言い訳で誤魔化し、更には井戸の水を汲むふりをしながら下にいるレイフに早く逃げる様に合図をします。
しかし、グズリーズの行動を不振に思った兵士が井戸に向かって槍を投げ、井戸の奥にあった桶に突き刺さります。その後レイフやエイナル達は逃げ出せたかは不明で、グズリーズ達も逃げれず仕舞いとなっています。
ヨムスボルグの戦場では、トルケル軍が弓を一斉に放つのに対し、ヨーム団は丸太を大量に投げつけては、それに火を付ける行動を実行、トルケルでさえも苦難を強いられ状態となります...。
グズリーズは兵士に対して、もっと気の利いた言い訳ができなかったのかな？なんて考えがちですが、緊張するとあまり脳が回らないのではないでしょうか。もし自分だったらと思うと、人の事言えないのかもしれません。
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第144話 バルト海戦役⑳
井戸を伝って外へ逃げ出すも、“グズリーズを置いて来たァ⁉砦の中に⁉”とエイナルは、レイフからの告知に驚きを隠せませんでした。ただ、自分達の命も危うい状態なので、今は共にいるバルドルに彼女を託すしかありませんでした。
容赦なく矢が放たれる中を二人は“生きのびなければ!!”と、兵士の盾で防御しながらその場所から去ろうとするも、レイフが飛んで来た矢で怪我を負ってしまいます。エイナルがレイフを背負って逃げているところへ、救いの手を差しのべたのはシグルドでした。
更に、重傷を負い手当てを受けたトルケルのもとにトルフィンが尋ね、間もなくエイナル達もやって来て久々の再会を果たします...。
壮絶な戦闘ドラマの中に、何気ないユーモアを忘れないところが印象に残ります。なかでも今回は、火傷で頭がチリチリになったトルケルが妙に笑えます。
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