『ひゃくえむ。』の魚豊先生による地動説マンガの傑作!『チ。-地球の運動についてー』第4巻は、バデーニは修道院の目から離れて研究に没頭する一方、オクジーや修道士のクラボフスキに冷ややかな態度を取っていました。
そのなかで、バデーニが負った顔の傷の原因が判明したり、彼の研究に新たな進展がありました…。
『チ。-地球の運動についてー』4巻には第22話~第28話までが収録されています。
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第22話
村へ戻って来たバデーニは、修道院の目から逃れようと、オクジーのいる納屋で研究を行う事となりました。
またバデーニは、オクジーが文字の勉強をしていた事に驚きます。
オクジーが文字を使える様になりたい理由として、一連の出来事を本として書き出したいとの事です。
バデーニは呆れた様子で、今の世の中、文字の読み書きができないのは良い事であり、文字が使えると情報が有り余る世の中になってしまうと言います。
更にバデーニは、危険を冒してまでそんな事をする必要はなく、もし書いたとしても燃やしてやるとオクジーに話したのでした。
場面は変わり、礼拝堂にて修道士のクラボフスキが子供達に話をしていました。
クラボフスキは、空に虹が出るのは、雨を耐えた皆を神が祝福したからだという話を伝えていました。
一区切り終えて、クラボフスキが部屋へ戻るとバデーニがその場で倒れており、クラボフスキは驚きます。
バデーニは起き上がり、最近の寝不足のせいだと話します。
クラボフスキはバデーニに、虹が何故あの様な色をしているか尋ね、子供達からも聞かれて困っているとも話します。
バデーニは長々と虹の仕組みについて説明し、クラボフスキはイマイチ納得行かないながら、子供達へ説明すると告げその場を立ち去ります。
暫くした後、バデーニと再び会ったクラボフスキはエピクロスを読んだ事はあるか尋ねます。
バデーニは、異教徒批判の為に読んだから、エピクロス(原子論)は無神論的だと言わない様に促します。
続けてバデーニが、エピクロス主義者のルクティウスも読んだ事があると答えると、クラボフスキはイキイキとした口調になります。
ルクティウスの詞は感動的であり、ルクティウスを読みたくて修道院に入ったのだともクラボフスキは言います。
読んだ事があるなら、一節だけでも教えて欲しいとクラボフスキが言います。
すると、バデーニは“お断りします”と拒否し、知識の共有が嫌いと告げます。
“並の人間が知を欲すると悲劇を招きかねない。
そもそも、それを扱うのに相応しい資格を持ち合わせていない普通の人に知なんて必要ないでしょ。”と話して去ったバデーニでした。
クラボフスキは、バデーニの態度に憤慨しつつも、異教ルクティウスの知識など求める必要ない等と心に叫び、冷静を保とうとしていました。
そんななかでクラボフスキは、修道院に来ていた老人の会衆から、バデーニの顔の傷についての話を聞きます…。
修道士と聞くとかなり真面目なイメージがありますが、バデーニの様に悪ぶった若者も案外いるかもしれず、人間味に溢れている様に見えます。
また、バデーニがクラボフスキに言った言葉も、ストレートかつ印象強く残したので、クラボフスキもかなり感情的になったのではないでしょうか。
第23話
納屋で研究に没頭していたバデーニは、オクジーとの待ち合わせ時間となり、彼のもとへ会いに行きます。
合流したオクジーから、ピャストが亡くなった事を告げられます。
しかし、バデーニは直ぐに話を切り替え、オクジーに“明日から地下通路を掘ってくれ。”と頼み事をします。
一方のオクジーはバデーニに対し、配給のパンを増やす様に願い出るも、聞く耳を持ちませんでした。
バデーニは納屋に戻り研究を再開するも、手元にあった記録や仮説の内容が合致せず悩みます。
この時、バデーニの目についたのが、壁に掛けてあったオクジーのネックレスでした。
そのネックレスは、地動説を信じる者達により後世へと伝えて石箱の位置を示すものでした。
二つのピンで留められ逆三角形でぶら下がったペンダントを見たバデーニは、そこから天体の軌道に関するヒントを見出していきます。
“よしッ!よしッ!よしッ‼神様、合っているかもしれません…”と手ごたえを感じたバデーニは、思わず手を合わせたのでした…。
バデーニは、一度追求し始めたら留まる事を知らず、オクジーら周囲を巻き込んでまで新しい開拓を進めようとしているのが伺えます。
更に、バデーニは完璧主義者である事が分かり、100%の理解を得た時の喜びや感情を発揮した時のリアクションは相当大きかった様に見えます。
第24話
修道所にて、異端審問の職に就く事になっていた修道士達が集まり、彼等は司教から激励の言葉を受けました。
司教は、過去数百年の間に西ローマ崩壊後の秩序が失われたなかで、希望の光を照らしたのはC教だと告げます。
しかし、そのC教の行いに背く者達が存在し、それが異教者であると話します。
そのうえで、“異端者(かれら)を救わねばならん。”と司教は言い、修道士達も司教の言葉を重く受け止めたのか、身を粉にして仕事を全うしようと決意するのでした。
若い修道士二人の前に現れたのが、教育担当となったノヴァクであり、彼は異端審問が非常に面倒くさい仕事である事や効率的な出世の方法等を説明してきました。
更には司教の息子だという男がやって来て、ただでさえ審問官の維持に金がかかるのに新人採用は勘弁しろと愚痴をこぼして去って行きます。
独身制のなかで何故司教に息子がいるのだと修道士達が尋ねると、偉い人というのは複雑なものだとだけ告げたノヴァクでした。
少し納得がいかないなか、修道士達はノヴァクに連れられて異端審問室にやって来ました。
そこは石壁の暗い部屋で、一人の女性が目隠しをされて椅子に縛り付けられていました。
ノヴァクは、その女性から黒ミサの情報を聞き出そうとしますが、女性は何も知らないと告げます。
するとノヴァクは、指責めの器具を取り出し、修道士達に使う様に指示します。
女性の手にはめられた器具のネジを、一人の修道士がおそるおそる回していきます。
女性の悲鳴と共に、器具により圧迫された親指がちぎれてしまいます。
続けて、ノヴァクはもう一人の修道士に、同じ事をする様に指示します。
その修道士は、泣き叫ぶ女性の姿を見て、“できません。”とノヴァクに言いました…。
希望を持って新しい仕事に取り組もうとした若者にとって、持っていた思いをへし折られる様な現実だったのではないでしょうか。
まして、ノヴァクから容赦無い拷問を指示されようものなら、善や悪の感覚も分からなくなりそうですね。
第25話
バデーニが納屋で手紙を書こうとした時、オクジーに声を掛けられ、作業を止めて街へ出向く事となります。
街の居酒屋でヨレンタと合流したバデーニ達は、互いの情報交換をします。
バデーニは、“アレが、完成した。たった今この瞬間も、我々は動いている。”と、地動説を発表できる段階まで検証していると説明します。
更にバデーニは、研究を続けて幅広くする為にV共和国への逃亡を計画しているとの事です。
一方のオクジーは、お金を貯めて大学へ通いたいという将来の夢を語ります。
またヨレンタの夢は、後世の女性の為に自分の名前で論文を発表する事だとの事です。
互いに夢を語り合うヨレンタ達の席へ、一人の中年男性が来て話し掛けます。
その男性を“私の父です。”とヨレンタが紹介するなか、オクジーの顔はひきつっていました。
ヨレンタの父親だという男性は、異端審問官であるノヴァクでした…。
オクジーやヨレンタ達の互いの夢が打ち明けられた回でしたが、バデーニに関しては、大地を揺るがす様な欲望が語られた感じではないかと思われます。
ただ、大きな飛躍への夢に対して、ノヴァクの目は既に遠くからチャッチしており、バデーニ達をシビアに見続けていたのかなと思いました。
第26話
オクジーは、ノヴァクの正体を知りつつも、何をしているか尋ねます。
ノヴァクは聖職関係の手伝いをしていると話しつつ、オクジーやバデーニにも職業を聞いてきます。
バデーニが即座に、村の修道院で働きつつ、たまにヨレンタと勉強会を行っていると答えます。
その場はどうにか和やかな雰囲気で終える事ができ、“た、助かった…!”と安心した様子のオクジーでした。
しかしその帰り道、オクジーとバデーニのもとへノヴァクが声を掛けます。
ノヴァクは自ら異端審問官であると言いつつ、暗号を使って宇宙を研究する者について調査をしていると説明しました。
そのうえで、“あなた方の研究、ちょっと見せてもらっていいですか?”とノヴァクから言われ、彼を連れて納屋へ向かったオクジーとバデーニでした…。
オクジーとノヴァクとは張り詰める様な緊張感でしたが、そこから開放された時のオクジーの安堵感は何とも言い難いものだったのではないでしょうか。
またノヴァクが納屋を見る事になった際も、それに動じずに次なる策を考えているバデーニの冷静さはタフなものだと思えました。
第27話
ノヴァクの検閲の際に異端者のネックレスを発見されてしまい、オクジーは緊張が走り、腰元の剣に手をやろうとします。
けれどもノヴァクは、“こんな安全な研究なのに、変な疑い掛けちゃってゴメンなさい”と満面の笑顔で話したのでした。
そして、突然の来訪を謝罪しつつ納屋を去って行ったのでした。
ノヴァクがいなくなると、オクジーは“死ぬかと思った…!”と言い、腰を抜かした様に本にもたれかかります。
一方でバデーニは、納屋を出る為の荷造りを始めます。
書類が隠しているなか、簡単に帰ってくれたのは本当に運が良かったとバデーニは言うも、明日か明後日にはここを離れたほうがいいとオクジーにも忠告します。
またオクジーは、ノヴァクにネックレスの事が気づかれず良かったと話します。
オクジーは、そのネックレスは以前行っていた仕事で異端者を輸送していた時にノヴァクが持っていたもので、巡り合わせで現在ここにあるのだと話します。
バデーニは直ぐに荷造りを始める様にオクジーに指示をした後、出発の前に過去の資料を燃やし始めます。
それを見ていたオクジーは、バデーニの行為に疑問を投げかけます。
他人を排除すると間違いに気付きにくくなり、確かな証拠も無く、地動説が真理であると断言できないのではと話します。
また、天動説を唱えていたピャストと違いはあるか等とオクジーは尋ねるも、バデーニはオクジーの言葉に耳を傾けるのみでした。
結局そのまま、“では、いつかまた”“いろいろとお世話になりました。”と言葉を交わし別れを告げたバデーニとオクジーでした。
しかし、オクジーがふと立ち止まり、自分達の方へ向かってくる馬車を見つけて“き、来た。異端審問官(かれら)だ。”と告げたのでした…。
オクジーは危険な状況に怯えるなかでも、徐々に目の前の現実に立ち向かっていこうとする姿勢が感じ取れます。
それも奥深い力説を投げかける様な感じで、バデーニもやや驚きを示す様子で、物語にも新しい展開が出て来たのかなと思いました。
第28話
ノヴァクら異端審問官が乗った馬車が4~5分程で来ると聞き、バデーニは納屋にあった書類を火に入れて地下に逃げる様にオクジーに指示します。
するとオクジーは、バデーニが書いていた手紙について尋ねます。
仮に手紙は書けても、その手紙を教会へ置き検問される事になるから、そこまで時間は無いとバデーニは言います。
オクジーは、手紙を書き逃げるのに何分必要かとにバデーニへ聞くと、“10分程度。”と答えました。
その言葉を聞くと、オクジーは剣を取り出し、馬車の方向へ向かいます。
“死ぬ気か?”と尋ねるバデーニに対し、“わかりません。ですが、時間は稼ぎます。”とだけ答えたオクジーでした。
そしてオクジーは、“今はこの地球(かんどう)を守る為に地獄へ行ける。”とまで口にしました…。
いよいよノヴァクらとの戦いを迎えようとしていましたが、オクジーが戦いに挑もうとしている決意の姿勢が相当固い事が伝わってきました。
そして、オクジーの構えが伝わったのか、バデーニも共に限界まで挑もうという思いが生じた様に感じられました。